Revised Common Lectionary (Semicontinuous)
118 さあ、主に感謝しましょう。
主はあわれみ深く、その恵みはいつまでも尽きません。
2 イスラエルの人々よ、口々に、
「主の恵みは尽きることがありません」と
ほめたたえなさい。
19 神殿の門よ、開きなさい。
私は中に入って、主に感謝します。
20 主を信じて従う人が、
この門から入って主の前に出るのです。
21 ああ主よ。
祈りに答えて私を救ってくださったことを、
心の底から感謝します。
22 大工の捨てた石が、
今では一番大切な土台石になりました。
23 これこそ主のなさることで、
人の思いをはるかに越えています。
24 今日こそ、主がお造りになった日です。
さあ、この日をぞんぶんに楽しみましょう。
25 ああ主よ、どうかお助けください。お救いください。
私たちがすることを、すべて成功させてください。
26 主がまもなく遣わしてくださる方に、
祝福がありますように。
私たちは神殿であなたがたを祝福します。
27-28 主は私たちの光です。
私はいけにえを祭壇にささげます。
私は主に感謝し、賛美の声を上げます。
29 感謝の祈りをささげましょう。
主はあわれみ深く、
その恵みはいつまでも尽きないからです。
エルサレムに着いてから
11 1-2 エルサレム郊外のオリーブ山のふもとに、ベテパゲとベタニヤという二つの村がありました。その近くまで来られた時、イエスはこう言って、弟子を二人、村に使いに出されました。「あそこの村に行きなさい。するとすぐに、だれも乗ったことのないろばの子がつないであるのに気づくでしょう。それをほどいて、連れて来なさい。 3 もし、だれかに何をしているのかと聞かれたら、『主がお入用なのです。すぐお返しします』とだけ答えなさい。」
4-5 二人が出かけてみると、なるほど、表通りに面した家の外に、ろばの子がつないであります。さっそく綱をほどきにかかると、そばにいた人たちが見とがめ、「そのろばの子を、いったいどうしようというんだ」と尋ねました。
6 二人がイエスに教えられたとおりに答えると、その人たちは納得しました。
7 ろばの子をイエスのところに連れて来た弟子たちは、上着を脱ぎ、ろばの背中にかけました。イエスがその上に乗られると、 8 群衆の中の多くの者たちも次々と上着を脱ぎ、イエスの進んで行かれる道に敷いたり、野原から葉のついた枝を切ってきて、敷き並べたりしました。
9-10 イエスを行列の真ん中にし、ぐるりと取り囲んだ群衆が、口々に叫びました。
「王様、ばんざーい!」
「主の御名によって来られる方に祝福を!」
「この方が興される御国に、われらの父祖ダビデの国に祝福を!」
「全世界の王、ばんざーい!」
11 こうしてイエスはエルサレムに着き、宮に入られました。そして中の様子をよくごらんになってから、もう時間も遅かったので、十二人の弟子たちといっしょに、ベタニヤまで引き返されました。
エルサレムでの最後の宣教
12 翌日、イエスがエルサレムに向かわれるというニュースが町中をかけ巡りました。過越の祭りで上京した人々は、 13 イエスを迎えようと、手に手にしゅろの枝を振りかざして駆けつけました。沿道はたちまち人の波、波、波……。あちこちで大歓声が上がりました。「救い主! イスラエルの王様ばんざーい! 神の大使ばんざーい!」 14 イエスはろばの子に乗っておられました。こうして預言どおりのことが起こったのです。
15 「イスラエルの民よ。
あなたがたの王を恐れるな。
王は柔和で、ろばの子に乗って、
来られるのだから。」(ゼカリヤ9・9)
16 〔この時、弟子たちには、この出来事が預言どおりに起こったこととは思えませんでした。しかし、イエスが天にある栄光の座に帰られたあと、「そういえば、あのことも聖書にあるとおりだった。このことも預言どおりだった」と思い出したのです。〕
4 神である主は私に、知恵のことばを授けました。
疲れきった人に何を言ったらいいかを教えるためです。
朝ごとに、主は私を目ざめさせ、
御心への理解を深めさせてくれます。
5 主のことばを、私は耳をすまして聞きます。
逆らったり、顔を背けたりしません。
6 むち打つ者に背中をさらし、
ひげを抜こうとする者に頬を差し出しました。
彼らは私の顔につばをはきました。
しかし私は辱められても、身を隠しません。
7 主の助けがあるので、
うろたえたり、気を落としたりしません。
固く心に勝利を収めると確信しています。
8 私を正しいと認めてくれる方がそばにいるのです。
さあ、だれが相手になるのか。私の敵はどこか。
いるなら、出て来なさい。
9 見なさい。神が味方である以上、
だれも、私を罪に定めることはできません。
敵はみな、虫に食われた古着のように、
ぼろぼろになります。
9-10 ああ主よ、
苦しみもだえるこの身をあわれんでください。
泣き疲れて、目も真っ赤です。
嘆き疲れた体は、悲しみのためにやつれ果てています。
私の歳月は縮まり、力尽きてしまいました。
罪のために、体も弱り果て、
嘆きと恥とでうずくまっています。
11 敵だけでなく、
隣人や友人からも悪しざまにののしられます。
彼らは私に会うのもいやだと言わんばかりに、
すれ違いざま、あきらかに顔をそむけます。
12 私はまるで死人のように、壊れたつぼのように、
忘れられています。
13 絶え間なく、
私についてのうそのうわさや中傷が耳に入り、
どちらを向いても、恐怖ばかりです。
敵は私のいのちをつけねらっているのです。
14-15 しかし主よ。
私はあなたに信頼し、こう申し上げました。
「あなただけが私の神です。
私の時はあなたの手の中にあります。
情け容赦なく追い立てる者の手からお助けください。
16 恵みの光で、もう一度このしもべを照らしてください。
限りなく恵み深いお方よ、どうかお救いください。
5 私たちに対するキリスト・イエスの態度を見ならいなさい。 6 キリストは神であられるのに、神としての権利を要求したり、それに執着したりはなさいませんでした。 7 かえって、その偉大な力と栄光を捨てて奴隷の姿をとり、人間と同じになられました。 8 そればかりか、さらに自分を低くし、犯罪人と同じようになって十字架上で死なれたのです。 9 しかし、それゆえに、神はキリストを高く天に引き上げ、最高の名をお与えになりました。 10 それは、その御名のもとに、すべてのものが天でも地でもひざまずき、 11 すべての口が「イエス・キリストは主です」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。
裏切られるイエス
14 過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)が二日後に迫りました。いぜんとして、祭司長やユダヤ人の指導者たちは、イエスを捕らえて死刑にしようと、その機会をうかがっていました。 2 しかし、「祭りの間はまずいだろう。民衆が暴動でも起こすと取り返しがつかないから」と用心していました。
3 さてイエスは、ベタニヤの、ツァラアトに冒されたシモンという人の家におられました。ちょうど食卓に着いておられる時、女が一人、入って来ました。高価な香油の入った美しいつぼを持っています。女はイエスに近づくと、いきなりつぼの封を切り、香油をイエスの頭に注ぎかけました。
4-5 同席していた何人かの者たちは腹を立て、「なんてもったいないことをする女だ。この香油なら高く売れて、貧しい人たちに施しをすることもできたのに」と、女をとがめました。
6 しかしイエスは、彼らに言われました。「彼女のするままにさせておきなさい。良いことをしてくれたのに、なぜ非難するのですか。 7 貧しい人たちは、いつも身近にいるのだから、その気があれば、いつでも助けることができます。しかし、わたしはもう、そんなに長くこの地上にいないのです。 8 この女は、精一杯のことをしてくれました。わたしの葬りの準備に香油を塗ってくれたのですから。 9 よく言っておきます。世界中どこででも、福音が伝えられる所では、この女のしたことも必ず賞賛されるでしょう。」
10 ところで、弟子の一人イスカリオテのユダは、イエスを売り渡そうと祭司長たちのところに出かけました。
11 ユダが来意を告げると、祭司長たちは喜び、謝礼を払うことを約束しました。それ以来ユダは、イエスを引き渡すチャンスをねらうようになりました。
12 過越の祭りの最初の日、すなわち、小羊をいけにえとしてささげる日に、弟子たちはイエスに、「どこで過越の食事をなさるおつもりですか」と尋ねました。 13 そこでイエスは、弟子を二人エルサレムへやり、その準備をさせることにしました。「町を歩いて行くと、水がめを持って来る男に出会うから、その男について行きなさい。 14 彼が入った家の主人に、『私どもの先生が、過越の食事をする部屋を見て来るようにと申しました』と言いなさい。 15 主人はすっかり用意の整った二階の広間を見せてくれるはずです。そこで食事のしたくをしなさい。」
16 二人が町に入って行くと、何もかもイエスの言われたとおりでした。こうして、過越の準備は整いました。
17 夕方、イエスと弟子たちは連れ立って、そこにやって来ました。 18 みなが食卓を囲んで食事をしていると、イエスは言われました。「いいですか。よく言っておきます。今わたしといっしょに食事をしている者の一人が、わたしを裏切ります。」
19 これを聞いた弟子たちは、ひどく心を痛め、口々に、「まさか、私ではありませんよね」と尋ねました。
20 「あなたがた十二人の中の一人で、今、わたしといっしょに同じ鉢にパンを浸している者です。 21 預言者が、ずっと昔からはっきり預言してきたように、わたしは死ななければなりません。けれども、わたしを裏切る者はのろわれます。その人はむしろ生まれてこなかったほうがよかったのです。」
22 食事の最中にイエスはパンを取り、神の祝福を祈ってからそれをちぎり、弟子たちに分け与えられました。「食べなさい。これはわたしの体です。」
23 それからぶどう酒の杯を取り、神に感謝の祈りをささげた後、弟子たちに与えられました。弟子たちはみな、その杯から飲みました。
24 イエスは言われました。「これは多くの人のために流す、わたしの血です。神と人間との新しい契約を保証する血です。 25 よく言っておきますが、やがて神の国で新しく飲むその日まで、わたしはもう決してぶどう酒を飲みません。」
26 一同は賛美歌を歌ってから、オリーブ山に向かいました。
27 イエスは、弟子たちに言われました。「あなたがたはみな、わたしを見捨てるでしょう。神が預言者を通して、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊は散り散りになる』(ゼカリヤ13・7)と言われたとおりに。 28 だが、わたしは復活してガリラヤに行きます。そこであなたがたに会うでしょう。」
29 すると、ペテロが言いました。「だれがどうあろうと、私だけは、この私だけは絶対にあなたを捨てません。」 30 イエスは、「ペテロよ。あなたは明日の朝、鶏が二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われました。
31 「とんでもない! たとえ死んでも、絶対にあなたを知らないなどとは言いません。」ペテロは大声で言いはりました。ほかの弟子たちも、口々に誓い始めました。
ゲツセマネで祈る
32 さて一同は、オリーブの木の茂っている、ゲツセマネと呼ばれる園にやって来ました。「わたしが向こうで祈っている間、ここに座っていなさい。」
33 イエスはこうお命じになると、ペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、奥のほうに行かれました。そして、恐れと絶望に襲われて、イエスはもだえ苦しみ始められました。 34 「わたしは悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れず、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」
35 イエスはそう言うと、三人から少し離れた所へ行き、地面にひれ伏して、もしできることなら、自分を待っているその時が来ないように、と祈られました。 36 「父よ、わたしの父よ。あなたはどんなことでもおできになります。どうぞ、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください。」
37 イエスが弟子たちのところへ戻って来られると、三人とも、ぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロに声をかけました。「シモンよ。眠っているのですか。たったの一時間でも、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。 38 しっかり目を覚まして祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。心は燃えていても、肉体は弱いのですから。」
39 こうしてまた彼らから離れ、先ほどと同じことを祈られました。 40 そのあと、もう一度弟子たちのところへ戻って来ると、またもや三人とも眠り込んでいます。ひどく眠気がさして我慢できなかったからです。彼らは何と言いわけしたらよいか、わかりませんでした。
41 イエスは三度目に戻って来て言われました。「まだ眠っているのですか。それだけ眠れば十分でしょう。さあ、時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者たちの手に売り渡されるのです。 42 さあ、立ちなさい。行くのです。見なさい。裏切り者がやって来ました。」
43 イエスがまだ言い終わらないうちに、祭司長やユダヤ人の指導者たちの差し向けた暴徒たちが、手に手に剣やこん棒を持って、弟子の一人であるユダを先頭に近づいて来ました。
44 ユダは前もって彼らと、自分が口づけのあいさつをする相手がイエスだから、その男を捕まえて、引き立てて行くように、と打ち合わせておきました。 45 それで、やって来るとすぐイエスに近づき、「先生」と声をかけて、さも親しそうに抱きしめ、あいさつの口づけをしました。 46 そのとたん、暴徒たちがいっせいにイエスを取り押さえました。 47 その時、イエスのそばにいた一人がさっと剣を抜き放つと、大祭司の部下に切りかかり、相手の耳を切り落としました。
48 イエスは暴徒たちに向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしい武装をして来なければならないほど、わたしは凶悪な犯罪者なのですか。 49 なぜ、神殿で捕らえようとしなかったのですか。わたしはあそこで毎日教えていたのに。けれども、これもみな、わたしについての預言が実現するためなのです。」
50 この時にはもう弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去っていました。 51-52 ただ一人、亜麻布を一枚だけまとって、イエスのうしろからついて行く青年がいました。ところが、途中で暴徒たちに見つかり、危うく捕まりそうになったので、引きちぎられた亜麻布を脱ぎ捨て、裸のまま逃げて行きました。
ペテロ、イエスを知らないと言う
53 イエスは、大祭司の家に引き立てられて行きました。祭司長やユダヤ人の指導者たちも急いで駆けつけ、まもなく全員がそろいました。 54 さて、ペテロは遠くからあとをつけて行き、うまく門からもぐり込んで、兵士たちにまぎれて火のそばでうずくまっていました。
55 中では、イエスに死刑の宣告を下すための証拠集めに、祭司長やユダヤの最高議会の全議員がやっきになっていましたが、何も見つけることができません。 56 偽の証人は大ぜい名乗り出たのですが、証言がみな食い違っていたのです。 57-58 そのうち何人かが、「確か、この男が、『人間の手で造られた神殿をこわして、人間の手によらない神殿を三日で建ててみせる』と言っているのを聞きました」と偽証しました。 59 しかしこの点でも、証言は一致しませんでした。
60 その時、大祭司が進み出て、イエスに問いただしました。「おまえはこれらの訴えに答えないつもりか。どうなんだ。何も釈明する気はないのか。」
61 イエスは、ひとこともお答えになりません。大祭司は続けて、「おまえは神の子、キリストなのか」と尋ねました。 62 「そのとおりです。あなたがたは、やがてわたしが神の右の座につき、雲に乗ってもう一度この地上に来るのを見るでしょう。」 63-64 この答えに、大祭司は即座に自分の着物を引き裂き、叫びました。「これだけ聞けば十分だ! さあ、お聞きのとおりだ。神を汚したこの男をどうしてくれよう。」こうして彼らは、イエスの死刑を全員一致で決めました。
65 このあと、ある者たちは、イエスにつばを吐きかけたり、目隠ししてこぶしで顔をなぐり、「今なぐったのはだれか当ててみろ」とあざけったりしました。役人たちもイエスの身柄を受け取って、平手で打ちました。
66 一方ペテロは、下の中庭にいました。大祭司の女中の一人が、 67 火にあたっているペテロに気づき、じっと見つめて言いました。「あら、あんた。あのナザレ人イエスといっしょにいた人じゃないの?」 68 ペテロはそのことばを打ち消し、「変な言いがかりはよしてくれ」と言って、出口のほうへ行きかけました。その時、鶏が鳴きました。
69 すると女中は、またもペテロをしげしげと見て、そばに立っている人たちに、「ほら、あの人。あの人はイエスの弟子よ」と言いふらしました。 70 ペテロはあわててそれを打ち消しました。しばらくすると、火のそばに立っていたほかの男たちも、「おまえは確かにイエスの仲間だ。ガリラヤ人だからな」と騒ぎだしました。 71 ペテロは、「そんな男のことなど知らない。これがうそだったら、どんな罰があたってもかまわない」と叫びました。
72 するとすぐ、鶏が二度目に鳴くのが聞こえました。その瞬間ペテロは、「鶏が二度鳴く前に三度わたしを知らないと言います」という、イエスのことばを思い出したのです。ペテロは激しく泣きくずれました。
イエスの裁判、十字架の死、埋葬
15 朝早く、祭司長と長老、それにユダヤ教の教師たちからなる最高議会の全議員が、次の手はずをあれこれ協議した結果、イエスを縛ったまま、ローマ総督ピラトに引き渡すことに決まりました。
2 「おまえはユダヤ人の王なのか」というピラトの尋問に、イエスは、「そのとおりです」とだけお答えになりました。 3 そこで祭司長たちは、あることないことをあげつらい、イエスを訴えました。 4 これを聞いたピラトは、「どうして何も言わないのか。あんなにまで訴えているのに平気なのか」と尋ねました。 5 しかしイエスは、ひとこともお答えになりません。これにはピラトも驚き、あきれてしまいました。
6 さてピラトは、毎年、過越の祭りには、人々の願うままにユダヤ人の囚人を一人、釈放してやることにしていました。 7 たまたまこの時、暴動で人殺しをし、投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいました。 8 群衆はピラトの前に押し寄せ、例年どおり囚人を釈放するよう迫りました。 9 そこで、ピラトは尋ねました。「『ユダヤ人の王』を釈放してほしいのか。おまえたちが赦してほしいのはこの男か。」 10 ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、彼の人気をねたむ祭司長たちのでっち上げによるとにらんだからです。
11 ところが、祭司長たちも抜かりはありません。たくみに群衆をけしかけ、イエスではなくバラバの釈放を要求させたのです。
12 「バラバは釈放するとして、おまえたちが王と呼んでいるあの男はいったいどうするつもりか。」
13 「十字架につけろ!」
14 「なぜだ。あの男が、いったいどんな悪事を働いたというのだ。」それでも群衆はおさまりません。なおも大声で、「十字架につけろ!」と叫び続けます。 15 ピラトは群衆のきげんをそこねたくなかったので、結局、バラバを釈放することにしました。イエスのほうは、先端に鉛のついたむちで打たせてから、十字架につけるために引き渡しました。
16 ローマ兵たちはイエスを総督官邸内の兵営に引き立てて行き、全部隊を召集しました。 17 その目の前で、イエスに紫色のガウンを着せ、長く鋭いとげのあるいばらで冠を作り、頭にかぶせると、 18 「おい、ユダヤ人の王よ」とはやしたて、皮肉たっぷりに敬礼しました。 19 それから、頭を葦の棒でたたいたり、つばをかけたり、ひれ伏して拝むまねをしたりして、からかいました。 20 こうしてさんざん笑いものにしたあげく、紫色のガウンをはぎとってもとの着物を着せ、いよいよ十字架につけるために引き出しました。 21 途中、ちょうど田舎から来合わせていたクレネ人のシモンという男に、むりやりイエスの十字架を背負わせました〔シモンは、アレキサンデルとルポスの父〕。
22 兵士たちは、イエスをゴルゴタ〔どくろ〕と呼ばれる場所に連れて行きました。 23 そこで、没薬を混ぜたぶどう酒(痛みを和らげる飲み物)を飲ませようとしましたが、イエスはお断りになりました。 24 兵士たちは、イエスを十字架につけてしまうと、さっそくくじを引き、その着物を分け合いました。 25 イエスが十字架につけられたのは、朝の九時ごろでした。
26 イエスの頭上には罪状書きが掲げられ、それには「ユダヤ人の王」と書いてありました。
27 その日、二人の強盗も、イエスといっしょに十字架につけられました。二人の十字架はイエスの両側に立てられました。 28 こうして、「彼は罪人の一人に数えられた」(イザヤ53・12)という聖書のことばどおりになったのです。
29-30 刑場のそばを通りかかった人たちは、大げさな身ぶりで、「神殿を打ちこわして三日で建て直すんだってなあ。そんなに偉いなら、たった今、十字架から降りて来いよ。自分を救ったらどうなんだ!」と、口ぎたなくイエスをののしりました。 31 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、同じようにあざけりました。「人を救っても、自分は救えないというわけか。」 32 「キリスト様。イスラエルの王様。十字架から降りてみろ。そうしたら信じてやろうじゃないか。」イエスの両側で十字架につけられていた強盗までが、悪口をあびせました。
33 さて正午になったころ、あたりが急に暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。 34 三時ごろイエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。 35 近くでその声を聞いた人の中には、預言者エリヤを呼んでいるのだと思った者もいました。 36 その時、一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。そして、「さあ、エリヤがこの男を降ろしに来るかどうか、とくと見ようじゃないか」と言いました。 37 イエスはもう一度大声で叫ぶと、息を引き取られました。
38 するとどうでしょう。神殿の幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。 39 十字架のそばに立っていたローマ軍の士官は、イエスの死の有様を見て、「この方はほんとうに神の子だった」と言いました。
40 数人の婦人が、遠くから恐る恐るこの様子をながめていました。それは、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、サロメをはじめ、何人かの婦人たちで、 41 イエスがガリラヤにおられた時、いつも仕えていた人たちでした。ほかにもたくさんの婦人が、イエスといっしょにエルサレムまで来ていました。
42-43 以上の出来事はすべて、安息日の前日に起こったことです。その日の夕方、一人の人がピラトのところへ行き、勇気を奮い起こして、イエスの遺体を引き取りたいと申し出ました。その人はアリマタヤ出身のヨセフといい、ユダヤの最高議会の有力な議員で、神の国が来ることを熱心に待ち望んでいました。
44 ピラトは、イエスがもう死んでしまったとは信じられず、ローマ軍の士官を呼びつけ、問いただしました。 45 士官が死を確認したので、それならよいと遺体の引き取りを許可しました。
46 ヨセフは亜麻布を買って来ると、イエスの遺体を十字架から取り降ろし、布でくるんで、岩をくり抜いた墓の中に納め、入口は石を転がしてふさぎました。 47 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが葬られるのをじっと見守っていました。
イエスの裁判、十字架の死、埋葬
15 朝早く、祭司長と長老、それにユダヤ教の教師たちからなる最高議会の全議員が、次の手はずをあれこれ協議した結果、イエスを縛ったまま、ローマ総督ピラトに引き渡すことに決まりました。
2 「おまえはユダヤ人の王なのか」というピラトの尋問に、イエスは、「そのとおりです」とだけお答えになりました。 3 そこで祭司長たちは、あることないことをあげつらい、イエスを訴えました。 4 これを聞いたピラトは、「どうして何も言わないのか。あんなにまで訴えているのに平気なのか」と尋ねました。 5 しかしイエスは、ひとこともお答えになりません。これにはピラトも驚き、あきれてしまいました。
6 さてピラトは、毎年、過越の祭りには、人々の願うままにユダヤ人の囚人を一人、釈放してやることにしていました。 7 たまたまこの時、暴動で人殺しをし、投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいました。 8 群衆はピラトの前に押し寄せ、例年どおり囚人を釈放するよう迫りました。 9 そこで、ピラトは尋ねました。「『ユダヤ人の王』を釈放してほしいのか。おまえたちが赦してほしいのはこの男か。」 10 ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、彼の人気をねたむ祭司長たちのでっち上げによるとにらんだからです。
11 ところが、祭司長たちも抜かりはありません。たくみに群衆をけしかけ、イエスではなくバラバの釈放を要求させたのです。
12 「バラバは釈放するとして、おまえたちが王と呼んでいるあの男はいったいどうするつもりか。」
13 「十字架につけろ!」
14 「なぜだ。あの男が、いったいどんな悪事を働いたというのだ。」それでも群衆はおさまりません。なおも大声で、「十字架につけろ!」と叫び続けます。 15 ピラトは群衆のきげんをそこねたくなかったので、結局、バラバを釈放することにしました。イエスのほうは、先端に鉛のついたむちで打たせてから、十字架につけるために引き渡しました。
16 ローマ兵たちはイエスを総督官邸内の兵営に引き立てて行き、全部隊を召集しました。 17 その目の前で、イエスに紫色のガウンを着せ、長く鋭いとげのあるいばらで冠を作り、頭にかぶせると、 18 「おい、ユダヤ人の王よ」とはやしたて、皮肉たっぷりに敬礼しました。 19 それから、頭を葦の棒でたたいたり、つばをかけたり、ひれ伏して拝むまねをしたりして、からかいました。 20 こうしてさんざん笑いものにしたあげく、紫色のガウンをはぎとってもとの着物を着せ、いよいよ十字架につけるために引き出しました。 21 途中、ちょうど田舎から来合わせていたクレネ人のシモンという男に、むりやりイエスの十字架を背負わせました〔シモンは、アレキサンデルとルポスの父〕。
22 兵士たちは、イエスをゴルゴタ〔どくろ〕と呼ばれる場所に連れて行きました。 23 そこで、没薬を混ぜたぶどう酒(痛みを和らげる飲み物)を飲ませようとしましたが、イエスはお断りになりました。 24 兵士たちは、イエスを十字架につけてしまうと、さっそくくじを引き、その着物を分け合いました。 25 イエスが十字架につけられたのは、朝の九時ごろでした。
26 イエスの頭上には罪状書きが掲げられ、それには「ユダヤ人の王」と書いてありました。
27 その日、二人の強盗も、イエスといっしょに十字架につけられました。二人の十字架はイエスの両側に立てられました。 28 こうして、「彼は罪人の一人に数えられた」(イザヤ53・12)という聖書のことばどおりになったのです。
29-30 刑場のそばを通りかかった人たちは、大げさな身ぶりで、「神殿を打ちこわして三日で建て直すんだってなあ。そんなに偉いなら、たった今、十字架から降りて来いよ。自分を救ったらどうなんだ!」と、口ぎたなくイエスをののしりました。 31 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、同じようにあざけりました。「人を救っても、自分は救えないというわけか。」 32 「キリスト様。イスラエルの王様。十字架から降りてみろ。そうしたら信じてやろうじゃないか。」イエスの両側で十字架につけられていた強盗までが、悪口をあびせました。
33 さて正午になったころ、あたりが急に暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。 34 三時ごろイエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。 35 近くでその声を聞いた人の中には、預言者エリヤを呼んでいるのだと思った者もいました。 36 その時、一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。そして、「さあ、エリヤがこの男を降ろしに来るかどうか、とくと見ようじゃないか」と言いました。 37 イエスはもう一度大声で叫ぶと、息を引き取られました。
38 するとどうでしょう。神殿の幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。 39 十字架のそばに立っていたローマ軍の士官は、イエスの死の有様を見て、「この方はほんとうに神の子だった」と言いました。
40 数人の婦人が、遠くから恐る恐るこの様子をながめていました。それは、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、サロメをはじめ、何人かの婦人たちで、 41 イエスがガリラヤにおられた時、いつも仕えていた人たちでした。ほかにもたくさんの婦人が、イエスといっしょにエルサレムまで来ていました。
42-43 以上の出来事はすべて、安息日の前日に起こったことです。その日の夕方、一人の人がピラトのところへ行き、勇気を奮い起こして、イエスの遺体を引き取りたいと申し出ました。その人はアリマタヤ出身のヨセフといい、ユダヤの最高議会の有力な議員で、神の国が来ることを熱心に待ち望んでいました。
44 ピラトは、イエスがもう死んでしまったとは信じられず、ローマ軍の士官を呼びつけ、問いただしました。 45 士官が死を確認したので、それならよいと遺体の引き取りを許可しました。
46 ヨセフは亜麻布を買って来ると、イエスの遺体を十字架から取り降ろし、布でくるんで、岩をくり抜いた墓の中に納め、入口は石を転がしてふさぎました。 47 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが葬られるのをじっと見守っていました。
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