Revised Common Lectionary (Semicontinuous)
王のようにエルサレムに入って行くイエス
(マルコ11:1-11; ルカ19:28-38; ヨハネ12:12-19)
21 イエスとその弟子たちは、神殿の都エルサレムまであと少しのところまで来ていた。その途中、一行が足を止めた場所、そこはオリーブ山のふもとにあるベテパゲの村付近だった。イエスは、弟子を2人だけその村へ送りだした。 2 「あそこにある村だが、その村に入ると繋がれているロバがいて、一緒に子供のロバもいる。見つけたら縄をほどいて、2匹ともここに連れてきてくれ。 3 もしも誰かが、なんでロバを持っていくのかと尋ねてきたら、『ご主人様が必要で。使い終わったら返します』とだけ伝えればいい」
4 この出来事を通して、預言者の言葉が実現した。
5 「シオンの都に伝えよ
お前の王が来た
謙虚なその方は、ロバをまたぎ、
荷物運びの子ロバと共にやってくる」
6 イエスに言われた通り行動する弟子たちは、 7 母ロバと子ロバを連れてきた。自分たちの上着をロバの背中にかけ、その上にイエスが座った。 8 エルサレムまでの通りを進んでいると、バサっ!バサッ!たくさんの人がイエスの進む道に上着を広げて地面に敷いた。また別の人は枝を折り、それを行く手に敷いた。 9 イエスの前を歩く人もいれば、後につく人もいる。みんな大声で歌いながら進んで行った。
「♪バンザ~イ!神に栄光あれ~♪
『王である神の名によって来られる方に祝福あれ~♪』
今こそ、その王国が建ちあがる!天の神に栄光あれ~!」
10 神殿の都エルサレムにイエスが足を踏み入れると、ガヤガヤと大騒ぎに・・・「誰だあの男は?」尋ねるのはエルサレムの住民。
11 「この方こそ、ガリラヤ地方のナザレ村から来た預言者イエスだ!」イエスにつづく群衆が答えた。
身分に捕らわれない姿勢
5 イエス・キリストの考え方なのだから見習いなさい。
6 ♪~イエスは全ての面で神と同じであった。
しかし、イエスは神と同等であっても、
そのことを自分のために使おうとは一切思わなかった。
7 それどころか、神に値する全ての権利を放棄したのだ。
そしてイエスは奴隷の地位を受け入れると、
人間として生き、その生涯を歩んだのだ。
8 イエスは自らを低くし、全身全霊で神のために尽くしたのだ。
そう!彼は死を迎え、十字架で死なれた時でさえも神に従い尽くした。
9 だからこそ、神はイエスの地位を頂点まで引き上げ、
この世の全ての名の中で最も優れた名を与えたのだ。
10 こうして全ての人間が、イエスを見てひれ伏し、イエスに敬意を表すのだ。
それは地上にいるものはもちろん、天にいる者も地の下にいる者さえも、イエスを拝むのだ。
11 そして彼らは口をそろえてこう言う。「イエス・キリストは王だ」と。
こうしてこのことが父である神に栄光を与えることとなるのだ♫~
イエスの敵に加担するユダ
(マルコ14:10-11; ルカ22:3-6)
14 その後、12弟子の1人であるイスカリオテ人のユダは、なぜか1人で祭司長たちのもとへと向かっていく・・・ 15 彼は言った。「イエスをあなた達の手に引き渡しましょう!ただそれに対する報酬は・・・?いくらだ?」銀貨30枚をユダに手渡した祭司たち。 16 それからのユダはイエスと共にいながらも、脳裏ではイエスを引き渡すチャンスをうかがっていた。
過越の食事
(マルコ14:12-21; ルカ22:7-14, 21-23; ヨハネ13:21-30)
17 さて、酵母菌なしパン祭りの初日、【種なしパン:酵母を入れないパン】イエスの弟子たちがイエスを尋ねに来た。「過越の食事を用意したいんですが、食事はどちらで調達しましょう?」
18 イエスは答えた。「町へ行って、俺の知人のもとを訪れろ。そしたら、『神が俺のために定めた時は近い。弟子と一緒にあなたのところで過越しの食事をとる』と伝えるんだ」 19 イエスに言われた通り行動した弟子たちは、過越しの食事の準備をした。
20 夕方になり、イエスは12弟子と楽しく過越しの食事をしていた。 21 彼らが食事をしていると、イエスが言った。「今、食事を共にしているうちの1人が、俺を敵の手に引き渡す!」
22 「なッ!」イエスの言葉を聞いて、弟子たちに衝撃が走った。そして弟子がみな口を揃えてこう言った。「先生、絶対に俺じゃないよ!」
23 イエスは答えた。「俺と同じ器にパンをひたしている者・・・俺を裏切るのは、その男だ・・・ 24 人の子は聖書にあるとおりこの世を去る。しかし、人の子を裏切って敵の手に渡し、死に追いやられるほど無残な者はいない!彼はいっそのこと生まれてこない方がましだった」
25 「先生!もちろん、私ではないですよね?」ユダが尋ねた。
イエスが答えた。「いや、お前だ!」
最後の晩餐(聖餐式)
(マルコ14:22-26; ルカ22:15-20; 1コリント11:23-25)
26 それから、食事を続けるイエスはパンを取ると、神に感謝を捧げてからパンを裂き、弟子たちに配った。「このパンは俺の体、さぁ、取って食べるんだ」
27 次に、ワインの入った1つの杯を取り、神に感謝を捧げると、同じように弟子たちにその杯を渡した。「みんな、この杯から飲んで、次へと回すんだ・・・ 28 このワインは、多くの人の過ちを赦し、神と人が新しい契約を結ぶために流される俺の血だ。 29 神の王国で新しくなったワインを飲むその日まで、俺がワインを口にすることはない」
30 それから、神を讃えて声を大にして歌い、オリーブ山へと向かった。
イエスを否定するペテロについて
(マルコ14:27-31; ルカ22:31-34; ヨハネ13:36-38)
31 イエスは弟子たちに言った。「今夜、お前たちが俺に抱く信頼は崩れる。聖書にこうある。
『わたしが羊飼いを殺す。
そして、羊は走って逃げる』
32 だが、俺が殺された後、俺は死から復活し、ガリラヤ地方へ行く。そこでお前たちを待つ!」
33 ペテロが答えた。「たとえ、他の誰があなたを見捨てようとも、俺が持つあなたへの信頼は絶対だ!」
34 イエスが答えた。「真実はこうだ。今夜お前は俺を知らないと言う。
雄鶏が鳴く前に三度、お前は俺を拒絶する」
35 すると、ペテロは言った。「俺がイエスを拒絶する?とんでもない!!俺はイエスの為なら死ぬ覚悟だってできてんだッ!」他の弟子も続けざまに同じようなことを言ったのだった。
1人で祈りにいくイエス
(マルコ14:32-42; ルカ22:39-46)
36 イエスと弟子たちがゲツセマネと呼ばれる場所に行くと、「祈ってくるから、ここに座っていてくれ」 37 イエスは弟子たちにそう告げたが、ペテロとゼベダイの2人の息子には一緒に来いと言った。・・・イエスは思い悩み、悲しみ始めた。 38 「悲痛のあまり、心が張り裂けそうだ。眠らずに、ここで待っていてくれ・・・」イエスはペテロとゼベダイの息子2人にそう告げた。
39 その後、イエスは少しだけ離れて、その場にひれ伏して祈り始めた。「お父さん・・・俺がこの苦しみの杯を飲まなくても、すむようにしてほしい・・・だけど・・・俺の思いじゃなく、お父さんの思いのままにしてくれ」 40 そしてイエスが、弟子たちのもとへ戻ると、「zzZ・・・」弟子たちは寝ているではないか。イエスはペテロを見て言った。「おい、お前たちは1時間たりとも共に起きていられないのか! 41 目を覚まして、誘惑に陥らない力を祈り求めるんだ。霊は正しくありたくても、体は弱いのだから」
42 イエスはもう一度その場を離れ、祈りのために向かっていった。「お父さん!この苦しみの杯が俺に与えられ、逃げ道もないのなら、どうかあなたの思い通りになるように」
43 イエスが弟子たちのもとに戻ってくると、またも睡魔に負けた3人が寝ているではないか。 44 イエスは彼らをそのままにし、またその場を離れて同じことを祈った。
45 さぁ、3度目の正直。イエスが戻ってくると3人は寝息を立てている。イエスは諦め、ため息をついた。「まだ寝てるのか・・・人の子が闇の手に落ちる時が来た。 46 立て!時は満ちた。裏切り者のご登場だ」
逮捕されるイエス
(マルコ14:43-50; ルカ22:47-53; ヨハネ18:3-12)
47 イエスが話し終わらないうちに12弟子の1人イスカリオテ人のユダが、剣やこん棒を持った武装集団をしたがえてイエスに近づいてきた。彼らは祭司長や掟の学者、また長老たちに派遣されたグループだった。 48 「いいか、俺が口づけの挨拶をする人を捕まえるんだ」イエスを裏切った弟子は、あらかじめ武装集団にイエスを見分けるためのサインを伝えていた。 49 「あ、先生!」ユダは笑顔でイエスに近づくと、口づけの挨拶をしながら、心の中で不気味な笑みを浮かべていた。
50 イエスが答えた。「友よ、目的を果たすがいい」
イエスが答えると、武装集団はイエスを捕えて押さえつけた。 51 その時!・・・スパっ・・・イエスの弟子の一人が剣を引き抜き、勢いよく振りかざした。ぼとッ・・・地面に落ちたのは大祭司の遣いの者の耳だ。
52 イエスが弟子に言った。「剣をしまえ!剣を抜く者は剣で死ぬ! 53 俺がお父さんに求めれば、何万という天使の軍を送ってくれることぐらいわかるだろう! 54 しかし、それでは聖書にあることが全うされない。つまり、起こるべきして起きているということだ」
55 続けてイエスはこう言った。「なぜ犯罪者を捕まえるかのように、剣やこん棒を持ってきた?わたしは逃げも隠れもせず、毎日、神殿で教えていたじゃないか。なぜそのときに捕まえない? 56 まあいい、聖書で預言者が記したことがすべて全うされるために起きたまでだ」その後、イエスの弟子はみなイエスを置き去りにして走って逃げていったのだ。
宗教指導者たちの前にいるイエス
(マルコ14:53-65; ルカ22:54-55, 63-71; ヨハネ18:13-14, 19-24)
57 イエスを捕まえた武装集団は、イエスを大祭司カヤパの家に連行した。そこには掟の学者、長老たちなどが集まっていた。 58 そのころペテロはというと、距離を保ちながら、イエスの後をつけていた。そして大祭司の庭に入り、これから起こることをその目で見るために看守たちの中にこっそりと紛れ込んでいた。
59 祭司長や最高審議会の議員たちはイエスの汚点をさっさと見つけて、死刑にする気満々だった。イエスは過ちを犯していた!とウソでもいい、そんな証言をする者を探しまわった・・・ 60 しかし、ウソの証言を並べる者はたくさんいるものの、根拠が全くなく、最高審議会はイエスを死刑に処すだけの理由を見つけられずにいた。そんな中2人の者が現れ、 61 こう証言した。「この人は一度、神殿を壊し、それを3日で建て直すと言っておりました!」
62 すると、大祭司が立ち上がりイエスに言った。「彼らがあなたにとって不利な証言をしていますが。これらの訴えに対し、何か反論はございますか?それとも彼らの言っていることは真ですか?」 63 「・・・・・・」イエスは黙ったまま、一向に口を開かない。大祭司はまたイエスに言った。「生ける神に誓って真実を述べなさい。あなたは神の子、選ばれし王なのですか?」
64 イエスは答えた。「そう呼びたければどうぞ。ですが言っておきましょう。あなた方はいずれ、人の子が全能である神の右の座に腰をすえている姿を見る。そして、天の雲に乗ってやって来るのを目の当たりにします」
65 「んなッ、なんでずどォォォーー!」ビリビリビリィィィーー!大祭司は怒り狂って、自分の服を引き裂いた!「え゛ーーぃ!もう十分だ。これ以上の証言はいらん!みなさんも聞きましたね。今まさにこの耳で、この人が神を侮辱するのを! 66 これを聞いたみなさんの考えを述べなさい」
ユダヤ指導者たちは答えた。「間違いなく有罪!死刑です!」
67 ペッ、ペッ!そのうちの何人かがイエスの顔に向かってツバを吐きかけた。ビシッ、ボコッ、ゴキ!さらには拳で殴る者もいれば、平手でたたく者もいた。 68 そこでこう言った。「預言者なら当ててごらん!いま殴ったのは誰だ?!ははは!」
イエスを知らないと言うペテロ
(マルコ14:66-72; ルカ22:56-62; ヨハネ18:15-18, 25-27)
69 そのころ、ペテロは大祭司の庭に座っていた。そこへ召使いの少女がやって来ると、ペテロを見て言った。「あなた!あなたは、あのガリラヤ地方から来たイエスと一緒にいた人でしょ?」
70 「お前は何を言ってるんだ?俺は知らん」ペテロはそこにいるみんなに対してこう言って否定した。
71 今度は中庭を出たところで別の女がペテロを見つけ、そこにいる人たちに言った。「ねぇ!この人、ナザレ村のイエスと一緒にいた人だ」
72 「か、神に誓って、俺はそんな男は知らない!」ペテロは再び否定し、イエスと一緒にいたことはないと言った。
73 その直後のこと・・・周りに立っていた者がペテロのもとに詰め寄ってくる・・・「間違いない!しゃべり方からしてあの男と一緒にいた男だ!」
74 それからペテロは叫んだ。「ふざけるな!神に誓って、俺はあんな男なんか知らない!もし俺が嘘をついてるって言うんだったら、神が俺に罰を食らわせたらいい!」ペテロがそう断言するとすぐ、・・・コッケコッコォォォ~・・・雄鶏が鳴いた。 75 すると、イエスに言われたことを思い出したペテロは、「雄鶏が鳴く前に俺を三度、イエスを知らないと言う・・・」「う、ゔわぁぁぁ〰〰〰〰〰〰!」と口にし、彼は外へ飛び出して、泣き崩れた・・・
ピラト総督のもとに連行されるイエス
(マルコ15:1; ルカ23:1-2; ヨハネ18:28-32)
27 夜明け頃のことだった。祭司長たちや長老たちが一堂に会い、イエスの処刑について決議をとっていた。 2 「閣下、騒動を起こしているイエスを連れてまいりました!」縄でつないだイエスを連れてきた祭司たちは、イエスをピラト総督の手に渡した。
自殺するユダ
(使徒1:18-19)
3 一方で、イエスを裏切ったユダはというと、イエスが死刑判決を言いわたされたことを知り、自分の犯したことの重大さに気づいてひどく後悔していた。イエスを裏切ったことで得た報酬、銀貨30枚を返すために祭司長や長老たちのいる場所へと向かった。 4 ユダは言った。「俺は無実の人を死に追いやってしまった・・・」
彼らは答えた。「そんな事、私たちの知ったことですか・・・私たちには関係ない。それはあなたの問題ですよ」
5 「こんなお金!」チャリンッチャリリリリンッ・・・神殿の中へ銀貨を投げ捨ててそこを飛び出したユダ。そのまま首をつって自殺してしまったのだ。
6 神殿に散乱した銀貨を集める祭司長たち。「困った困った。人を殺めるために使われたお金を、神殿の資産に戻すのは我々の律法に反しますねぇ・・・」 7 そこで、彼らはそのお金を「陶芸家の地」と呼ばれる土地を買うための資金にまわした。その土地は、エルサレム訪問中に帰らぬ人となった者を埋葬するために使われた。 8 そういうわけで、今もその場所は血の土地と呼ばれている。 9 これは全て預言者エレミヤの神のお告げどおりである・・・
「30枚の銀貨。それがイスラエルの国民が彼の人生へ支払うと決めた代価。 10 その金は、王である神が命じたとおり、『陶芸家の地』を買うために使われる」
イエスに質問するピラト総督
(マルコ15:2-5; ルカ23:3-5; ヨハネ18:33-38)
11 「ふむ、お主はユダヤ人の王なのか?」目の前に立つイエスに問いかけるのはピラト総督。
イエスは答えた。「そうとも言える」
12 しかし、祭司長や長老、ユダヤ指導者がする告発に対しては、断固として口を開かなかった。
13 ピラト総督はイエスに言った。「これだけ多くの者が訴えておるというのに、お主は黙っておるのか?」
14 弁解どころか、気にもしてない様子になおさら驚いたピラト総督であった。
イエスを釈放しようとするピラト
(マルコ15:6-15; ルカ23:13-25; ヨハネ18:39–19:16)
15 毎年、過越祭の日には、民衆が選んだ囚人を1人釈放する習慣があった。 16 ちょうどこの時、牢屋には、札付きの悪党が収監されていた。その名も・・・囚人バラバ。
17 ピラト総督は集まった群衆に尋ねた。「よし、今年もお前たちの望む者を1人解放するとしよう!バラバか?それとも救い主と呼ばれるイエスか?」 18 このように問いかけたのも、ピラト総督は、イエスが訴えられているのは祭司たちの嫉妬心のみが原因だと知っていたからだ。
19 裁判の真っ最中、ピラトの妻から伝言が届いた。「あの方に何もしないで・・・何も悪いことなどしていません。昨夜、あの方の夢を見ました・・・今もその胸騒ぎがおさまりません」
20 バラバと言いなさい。いいですか、バラバですよ!!!祭司長や長老たちは周りの群衆に、イエスではなく、バラバを解放するよう叫びなさいと根回しをしていた。
21 ピラト総督が言った。「さぁ、バラバか?イエスか?どちらを釈放したい?」
人々は答えた。「バラバだ!」「おぉバラバを解放しろ!」バラバ、バラバ、バラバ!
22 ピラト総督は尋ねた。「な・・・なら、お前らはこの救い主と呼ばれるイエスをどうしてほしいというのだ?」
すると、全ての人が言った。「十字架で殺せぇ〰〰〰〰!」じゅ〰じ〰か!じゅ〰じ〰か!!じゅ〰じ〰か!群衆は最も重い刑、十字架での処刑を求めてきた。
23 ピラト総督が言った。「なにィ・・・?なぜだ?こやつが一体何をしたと言うのだ?」
だが、彼らはもっと大きな声で叫んだ。「十字架で殺せ〰〰〰!」
24 もはや、なす術なし。その様子から悟ったピラト。大暴動が起きてもおかしくないという状況に、水瓶をだし、みんなの前で手を洗った。彼が言った。「俺は、この人を殺すという罪には一切関与しない!全ての責任はお前たちにある!」
25 人々は答えた。「そう言われなくても彼の死の責任は全て私たちが取りますよ!私たちと私たちの子供たちのせいにして構いません!」
26 バラバを釈放すると、ピラトは兵士に命じた。「イエスをムチで打て!」そして、十字架刑にかけるために、兵士たちにイエスを手渡したのだった。
イエスをからかったピラトの兵士たち
(マルコ15:16-20; ヨハネ19:2-3)
27 「来い!」ピラトの兵士たちが総督邸にイエスを連れて行くと、そこにいた兵士がイエスを取り囲んだ。 28 イエスの服をはぐと、ローマ兵の着ていた紫色のガウンをイエスに着せ、王に見立てた。 29 そして、いばらで編んだ冠を頭にかぶせ、その手には葦の棒を持たせた。彼らは言った。「おーこれは、これは!ユダヤ人の王様ではございませんか!コラッ!お前たち!ユダヤ人の王に敬礼せんか!ブ・・・ブワッハッハッハァー!」イエスをバカにする兵士たち。 30 さらにつばを吐きかけると、その手の棒を奪い取り、それでイエスの頭を殴った。 31 散々侮辱したあげく、着せたマントをイエスからはぎ取ると、もともと着ていた服を着せて、十字架にかけるために連行して行った。
イエスが十字架に釘付けにされる
(マルコ15:21-32; ルカ23:26-43; ヨハネ19:17-19)
32 町を出て処刑場にイエスを連行していた兵士たちだが、前に進むのに苦労していた。なんせ、ボロボロのイエスに重たい十字架を背負わせていたからだ。「おい、そこのお前、コイツの十字架を一緒に背負え!ほらッ」たまたまそこにいたクレネ人・シモンもイエスの後ろからその十字架を背負わされるはめになった。 33 イエスらはゴルゴダと呼ばれる地へと連行された。(ゴルゴダとは「頭がい骨の地」という意味) 34 「これを飲め!」兵士が、痛みを和らげるために苦い薬を混ぜ合わせたぶどう酒をイエスの口もとに出したが、イエスは少し口をつけただけで、飲むことを拒んだ。
35 ーーカンッ、カンッ、カンッ、べチャッ・・・十字架に釘で打付けられたイエス。その傍らには・・・「おーし、サイコロで決めるぞ!行くぞー。そーらよっ!き、きたー!もーらいっと!」イエスの着ていた服を切り分け、誰がどの部分をもらうのか、兵士たちがサイコロを振っていた。 36 そのまま見張りとしてそこに残った兵士たち。 37 トン、トン、トンッ。イエスが架けられた十字架の上の部分には罪状を記した板が掲げられた——「ユダヤ人の王・イエス」——
38 一緒に2人の犯罪者も十字架に釘づけにされ、1人はイエスの右側、もう1人は左側といった具合にイエスの両側に付けられていた。 39 そこを通りかかる人も、罵声を浴びせ、大きな身振りで 40 言った。「神殿を壊して3日で建て直すんですって?神殿の心配をする暇があったら、ご自身を助けてみたらどうだ?神の子なんでしょう?」
41 そこにいた祭司長たちをはじめとする、掟の学者たち、長老たちも同じようにイエスをあざ笑った。 42 「ヤツは他人を救いはしたが、自分は救えやしない!みっともないったらありゃしない!もし仮にですよ。この方がイスラエルの王ならば、今ここで十字架から降りて来ればよいではないですか。そうすれば、この我々でさえヤツを信じてあげますよ! 43 神を信頼し、自分がその息子だと言うのだから、本当に神が救うのかどうか、神に委ねればいい」 44 すると、イエスのわきの十字架にかかっていた犯罪者たちも同じようにイエスを侮辱した。
イエスの死
(マルコ15:33-41; ルカ23:44-49; ヨハネ19:28-30)
45 ブオオオオオ・・・・・・正午になると、国中が暗闇に包まれた!それが3時間続き・・・ 46 3時頃、イエスは残りわずかな力をふりしぼって叫んだ。「エロイ!エロイ!サバクタニ〰〰!」
47 「お、おい・・・こいつ今、エリヤを呼んだぞ!」
48 1人の男が慌てて走り出したかと思うと、スポンジを手に取り、水を混ぜた酸味あるワインを吸わせて棒に結びつけた。そして、十字架の上のイエスへその棒を伸ばし、飲ませようとした。 49 だが他の人が言った。「放っておけ、預言者エリヤが現れ、助けるかどうか見てみようじゃないか!」
50 「ぐ、う゛あ゛〰〰〰〰〰〰」イエスは叫んだ!かと思うとそのままぐったりしてしまった!息を引き取ったのだ。
51 バ、バリバリバリィーー!と同時に神の存在と人を分け隔てていた神殿の幕が上から下まで勢いよく真っ二つに裂け、大地震が起き、岩という岩が砕けた。 52 さらには墓が開き、生前に神を心底愛していた人たちが死からよみがえった。 53 彼らはイエスの復活後、聖なる都にいるたくさんの人の前に姿を現した。
54 「この方は、まことに神の子だった・・・・・・!」百人隊長やイエスを見張っていた兵士たちは、一連の出来事に縮みあがった。
55 ガリラヤ地方からイエスを気にして後を追ってきた女たちも、少し十字架から距離を置いたところからだったが、一連の出来事を見ていた。 56 マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、そしてヤコブとヨハネの母がそこにいた。
埋葬されるイエス
(マルコ15:42-47; ルカ23:50-56; ヨハネ19:38-42)
57 その夜のこと、アリマタヤ出身のヨセフが神殿の都エルサレムを訪れていた。彼は裕福でイエスを信じる者であり、アリマタヤからイエスを追って来ていた。 58 ピラト総督のもとへイエスの遺体を引き取りに願い出ると、総督は許可を出した。 59 ヨセフは遺体を抱きかかえ、亜麻布に包んだ。 60 その遺体をヨセフ自らが岩壁に掘った新しい墓室に埋葬し、巨大な石を転がして入り口を閉じると、その墓を去っていった。 61 マグダラのマリア、そして別のマリアもその墓室の近くに座っていた。
厳重な警備をしたイエスの墓
62 その日は休日に備える日。つまり、休日前日だった。翌日、祭司長やパリサイ派はピラト総督のもとへ行った。 63 「閣下!あの大嘘つきが生きていた時、『私は3日目に復活する』と言っていたのを思い出しました! 64 そこで、墓へ3日間の見張りをつけてみてはどうかと思いまして。奴の仲間が遺体を盗み出して、遺体が無いからイエスが蘇ったのだ!などとウソをつくこともあの連中ならやりかねません!そんな日には、あの大嘘つきについて言われたウソよりもタチの悪いウソが広まります!」
65 ピラト総督が言った。「では兵を連れて、墓室へ行きなさい。最善だと考える方法をとって構わん」 66 そこで彼らは墓へ行くと、石に封印をし、入り口をふさいで、兵士たちを墓の周りに配置し、誰からも盗まれないように守らせた。
イエスに質問するピラト総督
(マルコ15:2-5; ルカ23:3-5; ヨハネ18:33-38)
11 「ふむ、お主はユダヤ人の王なのか?」目の前に立つイエスに問いかけるのはピラト総督。
イエスは答えた。「そうとも言える」
12 しかし、祭司長や長老、ユダヤ指導者がする告発に対しては、断固として口を開かなかった。
13 ピラト総督はイエスに言った。「これだけ多くの者が訴えておるというのに、お主は黙っておるのか?」
14 弁解どころか、気にもしてない様子になおさら驚いたピラト総督であった。
イエスを釈放しようとするピラト
(マルコ15:6-15; ルカ23:13-25; ヨハネ18:39–19:16)
15 毎年、過越祭の日には、民衆が選んだ囚人を1人釈放する習慣があった。 16 ちょうどこの時、牢屋には、札付きの悪党が収監されていた。その名も・・・囚人バラバ。
17 ピラト総督は集まった群衆に尋ねた。「よし、今年もお前たちの望む者を1人解放するとしよう!バラバか?それとも救い主と呼ばれるイエスか?」 18 このように問いかけたのも、ピラト総督は、イエスが訴えられているのは祭司たちの嫉妬心のみが原因だと知っていたからだ。
19 裁判の真っ最中、ピラトの妻から伝言が届いた。「あの方に何もしないで・・・何も悪いことなどしていません。昨夜、あの方の夢を見ました・・・今もその胸騒ぎがおさまりません」
20 バラバと言いなさい。いいですか、バラバですよ!!!祭司長や長老たちは周りの群衆に、イエスではなく、バラバを解放するよう叫びなさいと根回しをしていた。
21 ピラト総督が言った。「さぁ、バラバか?イエスか?どちらを釈放したい?」
人々は答えた。「バラバだ!」「おぉバラバを解放しろ!」バラバ、バラバ、バラバ!
22 ピラト総督は尋ねた。「な・・・なら、お前らはこの救い主と呼ばれるイエスをどうしてほしいというのだ?」
すると、全ての人が言った。「十字架で殺せぇ〰〰〰〰!」じゅ〰じ〰か!じゅ〰じ〰か!!じゅ〰じ〰か!群衆は最も重い刑、十字架での処刑を求めてきた。
23 ピラト総督が言った。「なにィ・・・?なぜだ?こやつが一体何をしたと言うのだ?」
だが、彼らはもっと大きな声で叫んだ。「十字架で殺せ〰〰〰!」
24 もはや、なす術なし。その様子から悟ったピラト。大暴動が起きてもおかしくないという状況に、水瓶をだし、みんなの前で手を洗った。彼が言った。「俺は、この人を殺すという罪には一切関与しない!全ての責任はお前たちにある!」
25 人々は答えた。「そう言われなくても彼の死の責任は全て私たちが取りますよ!私たちと私たちの子供たちのせいにして構いません!」
26 バラバを釈放すると、ピラトは兵士に命じた。「イエスをムチで打て!」そして、十字架刑にかけるために、兵士たちにイエスを手渡したのだった。
イエスをからかったピラトの兵士たち
(マルコ15:16-20; ヨハネ19:2-3)
27 「来い!」ピラトの兵士たちが総督邸にイエスを連れて行くと、そこにいた兵士がイエスを取り囲んだ。 28 イエスの服をはぐと、ローマ兵の着ていた紫色のガウンをイエスに着せ、王に見立てた。 29 そして、いばらで編んだ冠を頭にかぶせ、その手には葦の棒を持たせた。彼らは言った。「おーこれは、これは!ユダヤ人の王様ではございませんか!コラッ!お前たち!ユダヤ人の王に敬礼せんか!ブ・・・ブワッハッハッハァー!」イエスをバカにする兵士たち。 30 さらにつばを吐きかけると、その手の棒を奪い取り、それでイエスの頭を殴った。 31 散々侮辱したあげく、着せたマントをイエスからはぎ取ると、もともと着ていた服を着せて、十字架にかけるために連行して行った。
イエスが十字架に釘付けにされる
(マルコ15:21-32; ルカ23:26-43; ヨハネ19:17-19)
32 町を出て処刑場にイエスを連行していた兵士たちだが、前に進むのに苦労していた。なんせ、ボロボロのイエスに重たい十字架を背負わせていたからだ。「おい、そこのお前、コイツの十字架を一緒に背負え!ほらッ」たまたまそこにいたクレネ人・シモンもイエスの後ろからその十字架を背負わされるはめになった。 33 イエスらはゴルゴダと呼ばれる地へと連行された。(ゴルゴダとは「頭がい骨の地」という意味) 34 「これを飲め!」兵士が、痛みを和らげるために苦い薬を混ぜ合わせたぶどう酒をイエスの口もとに出したが、イエスは少し口をつけただけで、飲むことを拒んだ。
35 ーーカンッ、カンッ、カンッ、べチャッ・・・十字架に釘で打付けられたイエス。その傍らには・・・「おーし、サイコロで決めるぞ!行くぞー。そーらよっ!き、きたー!もーらいっと!」イエスの着ていた服を切り分け、誰がどの部分をもらうのか、兵士たちがサイコロを振っていた。 36 そのまま見張りとしてそこに残った兵士たち。 37 トン、トン、トンッ。イエスが架けられた十字架の上の部分には罪状を記した板が掲げられた——「ユダヤ人の王・イエス」——
38 一緒に2人の犯罪者も十字架に釘づけにされ、1人はイエスの右側、もう1人は左側といった具合にイエスの両側に付けられていた。 39 そこを通りかかる人も、罵声を浴びせ、大きな身振りで 40 言った。「神殿を壊して3日で建て直すんですって?神殿の心配をする暇があったら、ご自身を助けてみたらどうだ?神の子なんでしょう?」
41 そこにいた祭司長たちをはじめとする、掟の学者たち、長老たちも同じようにイエスをあざ笑った。 42 「ヤツは他人を救いはしたが、自分は救えやしない!みっともないったらありゃしない!もし仮にですよ。この方がイスラエルの王ならば、今ここで十字架から降りて来ればよいではないですか。そうすれば、この我々でさえヤツを信じてあげますよ! 43 神を信頼し、自分がその息子だと言うのだから、本当に神が救うのかどうか、神に委ねればいい」 44 すると、イエスのわきの十字架にかかっていた犯罪者たちも同じようにイエスを侮辱した。
イエスの死
(マルコ15:33-41; ルカ23:44-49; ヨハネ19:28-30)
45 ブオオオオオ・・・・・・正午になると、国中が暗闇に包まれた!それが3時間続き・・・ 46 3時頃、イエスは残りわずかな力をふりしぼって叫んだ。「エロイ!エロイ!サバクタニ〰〰!」
47 「お、おい・・・こいつ今、エリヤを呼んだぞ!」
48 1人の男が慌てて走り出したかと思うと、スポンジを手に取り、水を混ぜた酸味あるワインを吸わせて棒に結びつけた。そして、十字架の上のイエスへその棒を伸ばし、飲ませようとした。 49 だが他の人が言った。「放っておけ、預言者エリヤが現れ、助けるかどうか見てみようじゃないか!」
50 「ぐ、う゛あ゛〰〰〰〰〰〰」イエスは叫んだ!かと思うとそのままぐったりしてしまった!息を引き取ったのだ。
51 バ、バリバリバリィーー!と同時に神の存在と人を分け隔てていた神殿の幕が上から下まで勢いよく真っ二つに裂け、大地震が起き、岩という岩が砕けた。 52 さらには墓が開き、生前に神を心底愛していた人たちが死からよみがえった。 53 彼らはイエスの復活後、聖なる都にいるたくさんの人の前に姿を現した。
54 「この方は、まことに神の子だった・・・・・・!」百人隊長やイエスを見張っていた兵士たちは、一連の出来事に縮みあがった。
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