Read the Gospels in 40 Days
ラザロの死
11 あるところに病気を抱えたラザロという男がいた。彼は、例のマルタ、マリア姉妹が住むベタニヤの村に暮らしていた。 2 (マリアは、イエスの足に高価な香油を注ぎ、自分の髪で拭いたマリアと同じ女性)マリアの兄弟がラザロであり、当時はその男は病気を患っていた。 3 そこで、マリアとマルタはある者を遣いとしてイエスのもとに送った。「師匠、あなたの友人であるラザロが重い病気にかかっています」
4 イエスがこれを聞くとこの様に言った。「この病気がラザロに死を招くことはなく、終わりにはならない!神に栄光を返すために起きているのだから。そして、それは神の子への栄光とつながるのだ!」 5 イエスはマルタとその妹、そして、ラザロを心から愛していた。 6 ラザロが病気であることを聞きながらイエスは、なおも2日間その場に滞在した。 7 2日経つとイエスは弟子に声をかけた。「ユダヤ地方に戻るぞ」
8 彼らは答えた。「おっ、えッ、先生!本気で言ってるのかい?ついこの前、ユダヤの指導者に石で打ち殺されそうになったばかりじゃないか?」
9 イエスは答えた。「日中は12時間。日中に歩けば、世の明かりでつまずき倒れることもない。 10 ところが夜は違う。夜まで待てばつまずいてしまう。明かりなしで歩くからだ」
11 それからイエスが言った。「友人のラザロが眠っているんだ。起こしてやらないと!」
12 弟子たちが答えた。「ですが、師匠!もし睡眠さえとれているのであれば、いずれ良くなるのでは・・・」 13 この時、イエスが本当の意味でラザロが眠っていると言ったのかと思っていた弟子たち。だが、イエスはラザロの死を意味していた。
14 だから、イエスは率直に言った。「ラザロは死んだよ。 15 その場に居合わせなくてよかった・・・お前たちにとってこれは良いことだ!これでお前たちはわたしを信じるようになる。さあ、行くぞ!」
16 それから双子のトマスが他の弟子たちに言った。「問答無用!俺たちも行くぞ!そこでイエスと死のうじゃないか!」
ベタニヤの村にいるイエス
17 イエスがベタニヤの村に来た時、ラザロはもうすでに死んでいて、墓に葬られて4日経っていることを聞いた。 18 ベタニヤの村は、エルサレムから3kmほど離れたところにあった。 19 多くのユダヤ人たちがマルタとマリアに会うためにその場所に集まっていた。慰めを与えに訪れていたのだ。
20 イエスが来ることを聞いたマルタは、彼にあいさつをするために出かけていった。だが、マリアは家に残っていた。 21 マルタがイエスに言った。「主よ、あなたがここにいたら、ラザロは死なずにすんだのに。 22 でも分かってるわ!あなたの求めることなら、今からでも神はそれを与えてくれるということを!」
23 イエスは言った。「ラザロは蘇る!」
24 マルタが答えた。「はい、この世が終わる日には必ず全ての人が蘇るのですよね!」
25 イエスは彼女に言った。「わたしが蘇りであり、いのちだ。わたしを信じる者は、たとえ死んでも生き返る。 26 わたしを信じて生きるなら、本当の意味では死なない。マルタ、これを信じるか?」
27 マルタが答えた。「はい!師匠こそがこの世に来ると約束された救い主であり、神の子です!」
イエスが涙した
28 こう言った後、マルタは家に残っているマリアの元に戻った。マルタはマリアを大勢の中から呼び出し、彼女1人になったところでこう言った。「先生が来てるよ。あんたに会いたいんだって!」 29 マリアはこれを聞くと、すぐにイエスのいるところへ向かった。 30 イエスはまだ村には入っていなかった。マルタが会っていた場所にまだイエスはいたのだ。 31 家でマリアを慰めていた人たちは、突然立ち上がって外に出て行く彼女の様子を見た。墓にでも行って大泣きをするのかと思った彼らは彼女について行った。 32 マリアはイエスのいるところに着いた。彼女がイエスを見ると、彼女はイエスの足もとにひれ伏して言った。「主よ!もし、あなたがここにいてくれていたら・・・私の兄弟は死ななくてすんだのに・・・」
33 イエスは、マリアとその周りにいる者たちの流す涙を見てとても悲しくなり心を震わせた。 34 イエスは聞いた。「ラザロをどこに置いた?」
彼らは言った。「こちらです・・・」
35 すると、イエスが涙を流し始めた。
36 そして、近くにいた人たちが言った。「見なさい!イエスは心の底からラザロを愛しておられたんだ」
37 だが、ある人はこう言った。「イエスは目が見えない人を癒した。イエスは、なぜラザロを助けて、死ぬのを止めなかったんだ!?」
イエスはラザロを死から蘇らせる
38 再び心を震わせるイエスは、墓に着いた。それは洞窟式の墓で、入口は円盤状の大きい石で閉じられていた。 39 イエスが言った。「石をどけるんだ!」
その子の姉であるマルタはこう言った。「でも!もう、ひどい臭いがしますよ!弟が死んでから4日もたってるんです」
40 それからイエスが彼女に言った。「忘れたかい?信じるなら、神の偉大さを目の当たりにすると言ったことを」
41 そう聞いて、彼らは入口にある石を動かした。そして、イエスは見上げて言った。「お父さん。わたしの願いが聞かれたことを感謝します。 42 もちろん、いつも聞いてくれているのは知っている。でも、わたしがこう言ってるのはわたしの周りにいるみんなのため。あなたがわたしを遣わしたって、彼らに信じてもらいたいんだ!」 43 こう言ったイエスはさらに大きな声で呼んだ。「ラザロ~!!!出てこい!!!」 44 なんと!布でぐるぐるに巻かれたミイラ状態のまま、ラザロが出て来たではないか!顔も布で包まれたままだった。
イエスは人々に言った。「さあ、早く布をほどいて自由にしてあげなさい!」
イエスを殺す計画
(マタイ26:1-5; マルコ14:1-2; ルカ22:1-2)
45 多くのユダヤ人がマリアのところに訪れていたため、そこにいた多くがイエスのしたことを見た。そして、多くがイエスを信じるようになった! 46 しかし、その中にはそれらをパリサイ派のもとへ報告しに行く者たちもいた。 47 そこで祭司長やパリサイ派は、最高審議会に招集を呼びかけた。「どうしましょう?あの男はたくさんの奇跡を行っております。 48 もし、あの男がこのままやり続けていくと、みんながヤツを信じるようになりますぞ!そうなったらローマ軍がやってきて、私たちの神殿と私たちの国家が乗っ取られてしまう!」
49 すると、その年のユダヤ最大権力者であり大祭司のカヤパが口を開いた。「みなさんは何も知らないのですね。 50 全国民が滅びるより、あの男1人に死んでもらった方がいいに決まってるではないか」
51 これは大祭司カヤパが自ら考えたことではなかった。その年の大祭司として、このことばが与えられたのだ。彼は預言していた・・・イエスが全国民のために死ぬということを。 52 そう、彼はユダヤ人の国のために死ぬのだ。だが彼はまた、世界中に散らばっている他の神の子供たちのためにも死ぬのだ。彼ら全員を集め、彼らを1つの国民にするために彼が死ぬ。
53 その日、ユダヤの指導者たちはイエスを殺すための計画を練り始めた。 54 それが理由でイエスは、ユダヤ地方を自由に旅することを止めたのだ。イエスは砂漠の近くにある、エフライムと呼ばれる都市に行った。そして、自分の弟子たちと一緒にそこで滞在した。
55 もうじき、ユダヤ地方の過越祭という時。世界中のユダヤ人が神殿の都エルサレムに集まって来ていた。彼らは祭りのため、そして自分自身を清めるのにその場所へ向かっていたのだ。 56 世界中のユダヤ人がイエスとの出会いをこの祭りで楽しみにしていた。神殿のあちこちで、「イエスは祭りに来ると思います?」と、お互いに聞き合っている姿があった。 57 一方、祭司長やパリサイ派の人々は、イエスに対しての特別な命令を出していた。イエスを逮捕するために彼の居場所を知る者は直ちに届け出よ、と命令を出していたのだ。
イエスを敬う女性
(マタイ26:6-13; マルコ14:3-9)
12 過越祭の6日前、イエスは生き返らせたラザロがいるベタニヤの村に向かった。 2 彼らはイエスのためにディナーを用意していたのだ。マルタが食事を用意していた。イエスと一緒に食卓にいた1人には、ラザロの姿もあった。 3 そこへ、マリアは純粋なナルドから作った高価な香油を500ml持ってきた。彼女はイエスの足に香油を注いだ。そして、自分の髪を使ってイエスの足を拭いたのだ。すると、香油からただよう良い香りが家中を包み込んだ。
4 イエスの弟子の1人、ユダ・イスカリオテもそこにいた。彼は後にイエスを敵に差し出す人物だ。ユダが言った。 5 「おい!その香油は年収ほどの価値があるんだぞ!絶対、それを売って貧しい人たちに恵んであげたほうが正解だろ!」 6 しかし、ユダは貧しい人のことなど本当は気にもしていなかった。彼がこう言ったのは盗人だったからだ。彼は弟子たちのためにお金の入ったカバンを管理していた人物であり、今までもチャンスを見つけてはそのカバンからお金を盗んでいたのだ。
7 イエスは答えた。「彼女を止めるな!今日、この日のためにこの香油をとっておいたことは大正解だ。マリアは、わたしの埋葬の準備をしてくれたのだ! 8 貧しい人たちを助けたいのなら、彼らはいつだって近くにいる。だが、わたしがあなたといつもいるとは限らない!」
祭司たちがラザロを殺す計画を立てる
9 イエスがベタニヤの村にいると聞いた時、多くの人々が彼を見に出かけて行った。彼らは、イエスが死から蘇らせたラザロもその目で見たかったのだ。 10 そこで、祭司長たちはラザロをも殺す計画を立てていた。 11 なぜなら、ラザロに起きたことが理由でたくさんのユダヤ人が彼らから離れ、イエスを信じるようになったからだ。
王のようにエルサレムに入って行くイエス
(マタイ21:1-11; マルコ11:1-11; ルカ19:28-40)
12 翌日、過越祭のために神殿の都エルサレムに集まっていた多くのユダヤ人たちは、イエスがこの神殿の都エルサレムに来るという話を聞き、 13 ヤシの木の枝を持って、イエスを王として歓迎するために外に出かけていた。彼らは叫んでこう言った。
「神を讃えよ~♪
歓迎しよう。王である神の名によって来る方に、神の祝福があるように~♪
イスラエルの王に、神の祝福を~♪」
14 旧約聖書にあるとおり、子供のロバを見つけ、イエスはそれにまたがった。
15 「シオンの都よ、恐れるな
見よ!お前の王が来た
彼は子ロバに乗ってやってくる」
16 この時、弟子たちはまだこの出来事が預言どおりに起きているとは理解していなかった。彼ら弟子たちは、イエスが栄光に満ちて天にのぼった後、この出来事が聖書の預言どおりだったことに気が付くのだ。
17 イエスがラザロを死から蘇らせて墓から出てくるようにと言った時、イエスと一緒に多くの人たちがその場いた。そして今、それを見た彼らは、イエスのしたことを他の人たちに伝えていた。 18 それが原因で、多くの人がイエスに会いに出かけていったのだ。イエスがした奇跡を彼らは聞いたからだ。 19 こうしてパリサイ派はお互いに言った。「見ろ!私たちの計画が通用していない。全世界がヤツを追いかけている!」
自分の死について語るイエス
20 過越祭ということで、エルサレムへ賛美をしに来た人の何人かは、ユダヤ人ではなくギリシャ人であった。 21 彼らギリシャ人は、ガリラヤ地方のベツサイダの村出身のピリポのところへ行くと、こう言った。「イエス様にお会いしたいのですが・・・」 22 そこで、ピリポはアンデレと話をするためにその場から離れた。その後、アンデレとピリポはイエスにそのことを伝えた。
23 イエスは彼らに言った。「いよいよ、人の子が栄光を受けとる時がきた! 24 麦の種は、成長して多くの麦を生み出す前に、まず地面に落ちて死ななければならない。一粒の麦が死ななければ、一粒以上の麦は期待できない。 25 今ある人生を愛する者は失うことになる。しかし、この世界で自分の人生をささげることを望む者は誰でも、それを自分のものにする!彼らは永遠のいのちを得ることになるのだ! 26 誰でも、わたしに仕えたいのならついて来い!あぁ、わたしに仕える者は誰でも、いつでも、どこでも、わたしと共に行動しなければならない!わたしに仕える者には、お父さんが花を持たせてくれる!」
自分の死について語るイエス
27 「だが、いったいわたしはどうしたらいいか・・・『お父さん、行く手に待ちかまえる苦難から救ってくれ』と祈るべきか?違う!この苦難をくぐるためにこそ、わたしは来た! 28 お父さん、何であれ、さらなる栄光があなたに集まるように!」
そのあと、天から声が聞こえた。「既にわたしは、わたしの栄光を現した。わたしはいま一度、その栄光を示そう!」
29 そこに立っている人たちはその声を聞き、その声はまさに雷であったと言った。だが、他の人はこう言った。「天使が彼に語った!」
30 イエスが言った。「その声は、わたしのためではなく、お前たちのためにあった。 31 今こそ、神がこの世を裁く時だ。今、この世の支配者は投げ捨てられる。 32 わたしは地上から引き上げられる。それが起きた時、わたしは全ての人をわたしのもとへ引き寄せよう」 33 イエスは自身の死にざまを示したのだ。
34 人々は言った。「あなたが死ぬですって?救い主は絶対に死なないと聖書にあるじゃないですか!なぜ人の子が天にあげられなければならないと言うのですか?いったい人の子とは誰のことですか?」
35 すると、イエスが言った。「ほんのしばらくの間、この光があなたと共にいる。明るい間に歩くのだ。そうすれば闇が追いつくことはない。闇を歩む者に行き先は見当たらない。 36 光がある間に、光を頼りにしなさい。そうすれば、光に属することができる!」この話を終えた後、イエスは誰にも見つからぬように身を隠した。
イエスを信じることを否定する人々
37 イエスがした多くの奇跡を見たのにも関わらず、最後までイエスを信じなかった者もいた。 38 それは、預言者イザヤが告げたことが実現するためだった。
「王である神よ。彼らに語った時、誰が、わたしたちのことばを信じたか。
誰があなたの力を本当に目の当たりにしたか」
39 人が信じられなかったことについて、預言者イザヤはこうも言っている。
40 「神は彼らの目から光を奪い、彼らの頭を閉ざした。
目には明らかではなく、頭では理解できないように。
もし悟ったなら、わたしのもとへ来る。
そうしたら、癒してあげよう」
41 預言者イザヤは、イエスにある圧倒的で究極的な栄光を見たからこそ、このお告げをしたのだ。
42 しかし、実際には大勢の人がイエスを信じた。その中にはたくさんのユダヤ人の指導者もいた。ただ、パリサイ派にユダヤ集会所から除名されるのを恐れ、そのことを公にすることはできず、密かに心の内で信じていたのだ。 43 神に好かれる以上に、人に好かれたかったということだ。
イエスの教えは人々を裁く
44 公の場で、イエスは大胆に話しはじめた。「わたしを信じて従う者は、わたしを遣わした神を真に信じている者だ! 45 わたしを見た者は、わたしを遣わした神を見たのだ! 46 わたしは、この暗い世に輝く希望の光として来た!暗闇でさまよっている人が、わたしを信じることで闇から解放されるためだ!
47 わたしは良し悪しをさばくためではなく、救いに来た!だから、わたしのことばを聞きながら従わない人がいても、彼らの過ちを咎めるのはわたしではない。 48 だが、わたしを信じることを拒み、わたしのことばを受け入れない人は、最後の判決の日に、わたしのメッセージに基づいて神の判決が下る。 49 なぜなら、このメッセージはわたしが考え出したことではなく、お父さんに言われたことを伝えたからだ。わたしの一言一句がお父さんのことばである! 50 お父さんの言うことがみんなに永遠のいのちをもたらすことを確信しているから、お父さんに言われたとおりのことを言うまでだ!」
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