Bible in 90 Days
1 これは、幻のうちに、神から預言者ハバククに示されたことばです。
ハバククの不満
2 主よ、助けを求める私の祈りに、
いつになったら耳を傾けてくださるのですか。
何の答えもないので、むなしく叫ぶばかりです。
「助けてくれ、人殺しだ」と叫んでも、
だれも助けに来てくれません。
3 私を取り囲んでいる罪と悲惨を、
いつまでも見ていなければならないのですか。
どこを見ても圧制とわいろがはびこり、
人は議論や争いにふけっています。
4 律法は無視され、法廷では正しい裁きが行われません。
悪者の数は正しい人よりはるかに多く、
わいろと詐欺が公然と行われているからです。
主の答え
5 主は答えました。
「見よ、そして驚け。
わたしがしようとしていることを知ったら、
驚愕するだろう。
それはあなたが生きているうちに起こる。
目で見なければとても信じられないようなことだ。
6 地上の新しい勢力として、カルデヤ人を起こす。
残忍で横暴なこの民は、世界を行き巡り、征服する。
7 その残酷さは世に鳴り響く。
やりたい放題のことをするが、
だれにもそれをじゃまされない。
8 その馬は豹よりすばやく、
民の狂暴さは日暮れの狼もかなわないほどだ。
騎兵は遠い地から誇らしげに前進して来る。
鷲のように急降下して獲物に飛びかかる。
9 反対する者はみな、その姿を見ると、
おびえていなくなる。
まるで砂を集めるように、彼らは捕虜を集める。
10 彼らは王や君主をあざけり、要塞を鼻であしらう。
城壁に向かって土を積み上げただけで、
それを占領してしまう。
11 風のように吹き抜け、去って行くが、彼らの罪は重い。
その力は自分たちの神々から与えられたと
言い張るからだ。」
ハバククの不満
12 ああ、私の神である主、聖なる永遠のお方よ。
このことはみな、私たちを抹殺するためなのですか。
そんなはずはありません。
私たちの岩である神よ、
あなたは、恐ろしい罪を犯した私たちを懲らしめ、
正しい者にしようとして、
カルデヤ人を起こされたのです。
13 私たちは悪い者ですが、彼らはもっと悪いのです。
どんな罪をも見のがさないあなたは、
私たちが彼らにのみ込まれるのを
ただ立って見ておられるのですか。
悪者たちが彼らよりましな者を滅ぼすのを、
黙って見過ごすべきでしょうか。
14 私たちは、
捕らえられて殺される魚にすぎないのですか。
敵から守ってくれる指導者のいない、
はい回る虫けらにすぎないのですか。
15 彼らは楽しみながら、私たちを釣り針で釣り上げ、
網で引きずるのでしょうか。
16 そうならば、彼らはその網を拝み、
その前で香をたいて、
「これが、われわれを豊かにしてくれる神々だ」
と言うでしょう。
17 いつまでも、こんなことをさせておくのですか。
彼らは情け容赦なく戦い、
いつまで勝ち続けるのでしょうか。
2 今、私は見張り台に立ち、
神が私の訴えにどう答えるか待っていましょう。
主の答え
2 すると主はこう言いました。
「板に、わたしの答えを書き記せ。
だれでもひと目で読んで
ほかの者にすぐ伝えることができるように、
大きな字で、はっきり書きなさい。
3 だが、わたしが計画しているこのことは、
今すぐには起こらない。
ゆっくりと、着実に、確かに、
幻が実現する時が近づいている。
遅いように思えても、失望してはならない。
これらのことは必ず起こる。
忍耐していなさい。
ただの一日も遅れることはない。
4 今から言うことをよく聞いておけ。
このカルデヤ人たちがそうするように、
悪者は自分だけを信頼して失敗する。
だが正しい人は、わたしを信頼して生きる。
5 そのうえ、このおごり高ぶったカルデヤ人は、
自分たちのぶどう酒によって裏切られる。
ぶどう酒は人を欺くものだからだ。
彼らは貪欲で、多くの国をかき集めてきたが、
まるで死や地獄のように、決して満足しない。
6 捕らえられた者たちが彼らをあざける時が
こようとしている。
『強盗ども。とうとう年貢の納め時だ。
人を虐げ、ゆすり取った当然の報いを受けろ』と。」
7 「突然、おまえに借りのある者たちが怒って刃向かい、
おまえの持ち物を奪い取る。
その時、おまえはなすすべもなく立ち尽くし、
震える。
8 おまえは多くの国を破滅させた。
今度はおまえが破滅する番だ。
人殺しめ。
おまえは田舎とすべての町を無法状態にした。
9 邪悪な手段で富を得ながら、
危険を逃れて生きようとしているおまえは災いだ。
10 殺人を犯すことで自分の名を辱め、
いのちさえ失っている。
11 まさに、自分の家の壁の石がおまえを訴え、
天井の梁がそれに同調している。
12 殺人と強奪で得た金で町を築くおまえは災いだ。
13 主に逆らう国々の利益は
彼らの手の中で灰になると、主は定めていなかったか。
彼らがどんなに精を出しても、すべてが水の泡だ。
14 (海が水で満たされているように、
全地が主の栄光を知ることで満たされる時がくる。)
15 酔っぱらいをこづくように、
近隣の国々をよろめかせ、
その裸と恥を眺めて楽しんでいるおまえは災いだ。
16 やがておまえの全盛期は終わり、辱められる。
神のさばきの杯を飲み干すがいい。
よろめいて倒れよ。
17 おまえはレバノンの森を切り倒した。
今度はおまえが切り倒される。
おまえは罠で捕らえた野獣を恐ろしい目に会わせた。
今度はおまえが恐ろしい目に会う。
至るところの町々で、殺人と暴虐を行ったからだ。
18 人間が造った偶像を拝んで、何の得があったのか。
そんな物が助けになるなど、全く愚かなうそだ。
自分で造った物を信頼していたとは、
なんと愚かな者か。
19 いのちのない木の偶像に、
起きて自分たちを救えと命じる者、物言わぬ石に、
何をすべきか教えてほしいと呼びかける者は災いだ。
偶像は、神の代わりに語ることができるのか。
金銀で覆われているが、その中にいのちは全くない。
20 しかし主は、ご自分の聖なる神殿にいる。
全地はその御前に静まれ。」
ハバククの祈り
3 これは、ハバククが主の前で歌った勝利の祈りです。
2 主よ。
今、私は、あなたのうわさを聞きました。
あなたがしようとしておられるみわざを知り、
恐れをもって礼拝しています。
この非常時に直面している私たちを、
再び、昔のあなたのようにお助けください。
あなたの力を示してください。
御怒りの中にも、あわれみを忘れないでください。
3 神がシナイ山から砂漠を越えて来られるのが
見えます。
その輝きが天地に満ちています。
その栄光は天に満ち、地は神への賛美でいっぱいです。
神は、なんとすばらしい方でしょう。
4 両手からは、まばゆいばかりの光が放たれます。
神は恐るべき力を秘め、
5 疫病を従えて進みます。
6 神はしばらくの間じっと立ち止まり、
地上を見渡します。
それから国々を揺り動かし、
今までびくともしなかった山々を打ち砕き、
丘を平らにするのです。
あなたの力は変わることがありません。
7 クシャンとミデヤンの人々が
恐れおののいているのが見えます。
8-9 主よ、川を打ち、海の水を左右に分けたのは、
怒ってそうしたのですか。
川や海に不満を抱いたからですか。
いいえ、
あなたの救いの戦車を遣わそうとされたのです。
すべての人がその力を見ました。
それから、あなたが命じると、
泉が地の上にわき出ました。
10 山々はそれを見て、震えました。
激流が走り、
深い淵が叫んで、主への降伏を告げました。
11 見上げる太陽と月は光を失い始め、
あなたの矢から発する輝きと槍のひらめきとで、
ぼやけています。
12 あなたは憤りに燃えて地を行き巡り、
御怒りで国々を踏みつけました。
13 ご自分が選んだ民を救うために出て行き、
悪者たちの頭を砕き、
頭のてっぺんから足のつま先まで、
その骨をさらしものにしました。
14 イスラエルなど物の数ではないと、
つむじ風のようにやって来た者たちを、
彼らの武器で滅ぼしました。
15 あなたの騎手たちは海を渡って前進し、
大水は高くもり上がりました。
16 このすべてを聞いて、私は震え、
歯ががくがくしています。
足もとがふらつき、ぶるぶる震えています。
私は、侵略した民に苦しみが襲いかかる日を、
静かに待ち望みましょう。
17 いちじくの木が全滅して花も実もつけず、
オリーブの木も実りがなく、
畑が荒れたままであっても、
羊の群れが野で死に、牛小屋がからっぽでも、
18 私は主を喜びます。
私を救ってくださる神のおかげで幸せです。
19 神、主は私の力です。
私を鹿のように速く走れるようにし、
山の向こうに安全に連れて行ってくださるのです。
(聖歌隊の指揮者のために。
この頌歌を歌うときは弦楽器の伴奏で歌うこと。)
1 表題――主からのことば。あて先――ゼパニヤ。彼はクシの子、ゲダルヤの孫、アマルヤの曾孫、ヒゼキヤの曾々孫。時代――ユダの王、アモンの子ヨシヤの治世。
主の日に下される全世界へのさばき
2 主はこう言う。
「わたしは、おまえの国にあるものを一掃し、
徹底的に滅ぼす。
3 人も動物もだ。
人間と人間が拝む偶像、すべては消え去る。
空の鳥も海の魚も死に絶える。
4 わたしはこぶしでユダとエルサレムを打ち砕き、
残っているバアルの礼拝者を断ち滅ぼす。
偶像に仕える祭司を抹殺し、
そのため、彼らの記憶さえ消え去る。
5 彼らは屋上に上って、太陽や月や星を拝んでいる。
『主に従っている』と言いながら、
モレクをも礼拝している。
わたしは、そんな彼らを滅ぼす。
6 そして、以前は主を礼拝していたのに
今は礼拝していない者や、主を愛したことも
愛そうと思ったこともない者を滅ぼす。」
7 静まって、主の前に立て。
主のさばきの恐ろしい日がくるからだ。
神はご自分の民を虐殺する手はずを整え、
死刑執行人を選んでいる。
8 「さばきの日に、わたしはユダの指導者と君主たち、
それに異教の服を着ている者すべてを罰する。
9 そうだ、異教の習慣に従う者や、
盗みや人殺しをほしいままにして、
主人の家を暴力と詐欺による邪悪な利得で満たす者を
罰する。
10 警告を発する叫び声が、
エルサレムの中心から遠く離れた門から上がり、
だんだん近づいてきて、ついに前進する軍勢の音が、
町が立っている丘の頂に達する。
11 エルサレムの民よ、泣き悲しめ。
町の貪欲な商売人、高利貸しは一人残らず死ぬのだ。
12 わたしは、ともしびをかざして、
エルサレムの暗い隅々まで捜し回る。
罪にどっぷりつかり、神に関心を示さず、
神はそっとしておいてくれると考えている者たちを
見つけ出して罰するのだ。
13 彼らの財産は敵に奪われ、家は荒らされる。
自分たちが建てた新しい家に住む機会は決してない。
自分たちが植えたぶどう畑のぶどう酒を
飲むことも決してない。
14 その恐るべき日は近い。
急ぎ足でやってくる。
その日には、勇士たちも泣きくずれる。
15 それは神の怒りが注ぎ出される日、
恐ろしい苦悩と苦痛の日、崩壊と荒廃の日、
暗闇と陰鬱、
暗雲と暗黒の日。
16 角笛が吹き鳴らされ、ときの声が上がる。
城壁で囲まれた町と、最も強固な胸壁が崩れ落ちる。
17 わたしは彼らを、
目が見えずに手探りで道を捜し回る人のように
無力にする。主に罪を犯したからだ。
それで、彼らの血はちりの中に注ぎ出され、
死体は地面に置かれたまま朽ちはてる。」
18 あなたがたの金銀も、主の怒りの日には役に立たない。
そんなもので自分の身代金を払うことはできない。
神のねたみの炎が、全地をなめ尽くすからだ。
神はユダの民すべてをたちまちのうちに取り除く。
諸国と共にさばかれるユダとイスラエル
2 集まって祈れ、恥知らずの民よ。
2 まだ時間があるうちに。
さばきが始まり、
残された機会がもみがらのように吹き飛ばされる前に。
主の激しい怒りが襲いかかり、
御怒りの恐るべき日が始まる前に。
3 謙遜な者たちよ、従おうと努力してきた者たちよ、
神に助けを請え。
謙遜に歩み、正しいことを行え。
そうすれば、その運命の日に
主に守ってもらえるかもしれない。
4 ガザ、アシュケロン、アシュドデ、エクロン、
これらのペリシテ人の町も、根こそぎにされ、
荒れはてたままにされる。
5 海岸とカナンの地に住むペリシテ人は災いだ。
さばきはおまえたちにも向けられているからだ。
主はおまえたちを一人残らず滅ぼしてしまう。
6 海岸地帯は牧草地となり、羊飼いがテントを張り、
羊がたわむれるようになる。
7 そこでは、わずかに生き残ったユダ部族が
家畜を放牧する。
彼らは、使われなくなったアシュケロンの家に
身を横たえて休む。
神である主が、ご自分の民を親しく訪れ、
元どおり繁栄させてくださるからだ。
8-9 イスラエルの神、全能の主は言う。
「わたしは、モアブとアモンの民が
わたしの民をあざけり、この地を侵略した時の
ののしりを聞いた。
だから確実に、モアブとアモンは、
ソドムとゴモラのように滅ぼされ、
いら草が茂る所、塩の穴、永久に荒廃した地となる。
生き残ったわたしの民が、
そこを奪って自分のものにする。」
10 彼らは高慢の報いを受ける。
全世界を支配する主の民をあざけったからだ。
11 主は彼らをひどい目に会わせる。
外国の勢力の神々をことごとく餓死させ、
全世界ですべての人々が自分の住む地で
主を礼拝するようになる。
12 エチオピヤ人よ。
おまえたちも主の剣で殺される。
13 北の地も同様だ。
神はアッシリヤを滅ぼし、
その壮大な首都ニネベを荒野のような不毛の地にする。
14 あの隆盛を誇っていた町は羊の牧草地となる。
あらゆる野の獣がそこに住みつく。
針ねずみは巣穴を掘り、はげたかやふくろうは
宮殿の廃墟に住み、破れた窓で鳴く。
からすは扉のところで鳴く。
高価な杉の羽目板も、風雨にさらされたままになる。
15 これが、「世界中で自分ほどすばらしい町はない」
と言って、安らかに暮らしていた、
あの広大で繁栄した都の運命だ。
しかし今、見るがいい。
荒れはて、動物の住みかとなってしまった。
そこを通る者はみなあざけるか、
とても信じられないといった顔で首を振る。
3 罪と汚れに満ちたエルサレム、
暴力と犯罪の町は災いだ。
2 おごり高ぶって、神の声にさえ耳を貸そうとしない。
だれもこの町と話ができない。
あらゆる懲らしめを拒んでいるからだ。
主に信頼せず、神を求めようとしない。
3 エルサレムの指導者たちは、
獲物を求めてほえるライオンのようだ。
手に入れることができるなら、
どんなものでもねらっている。
裁判官たちは日暮れの飢えた狼のようだ。
明け方には、獲物の痕跡を残さない。
4 エルサレムの預言者たちは
自分の利得を求める偽り者だ。
祭司たちは律法に背いて、神殿を汚している。
5 しかし、主はそんな町の中にいても不正を行わない。
日に日に神の正義が明らかになる。
ところが、だれも注意を払わない。
悪者たちは恥知らずだ。
6 「わたしは多くの国を切り捨て、
その全領域を荒廃させた。
通りは荒れはてて静まり返り、町々は、
何が起こったかを思い出す者は
一人も残らないまま見捨てられた。
7 わたしは思った。
『今こそ、彼らはわたしの言うことを聞くだろう。
確かにわたしの警告に耳を傾けるから、
二度と打つ必要はない』と。
ところが、そうではなかった。
どんなに罰しても、夜明けから夕暮れまで、
夕暮れから夜明けまで、悪を行っている。」
8 それでも、主はこうお語りになる。
「もう少しの我慢だ。
悪に染まったこの国々を告発するために
わたしが立ち上がる時が、すぐにくる。
地上の国々を一つに集め、
最も激しい怒りと憤りを下すと決めている。
全地は、わたしのねたみの炎で焼き尽くされる。
イスラエルの残りの者の回復
9 その時、戻って来るわたしの民の語ることばを
純粋なヘブル語に変え、
全員が共に主を礼拝できるようにする。
10 散らされたわたしの民で
エチオピヤの川の向こうのスーダンに住んでいる者も、
ささげ物を携えて来て、
もう一度彼らの神になってくれるよう、わたしに願う。
11 その時あなたは、
もうわたしに反逆しないので、恥じ入る必要はない。
あなたの中から、
高ぶっている横柄な人々を取り除く。
わたしの聖なる山に、
おごり高ぶる者は一人もいなくなる。
12 残された者は貧しく謙遜な人々で、主の名に信頼する。
13 罪を犯さず、偽りを言わず、欺くこともない。
静かで平和な生活を送り、安らかに眠りにつく。
だれにも脅やかされることがない。」
14 シオンの娘よ、歌え。イスラエルよ、叫べ。
エルサレムの娘よ、心から喜び楽しめ。
15 神はさばきの手を引っ込め、
あなたの敵の軍を追い散らすからだ。
イスラエルの王である主ご自身が、
あなたのうちに住む。
ついにあなたの苦しみは終わる。
もう恐れる必要はない。
16 その日、エルサレムに告げ知らされる。
「元気を出せ。恐れるな。
17-18 あなたの神、主が、
あなたのうちに住むために到着したからだ。
この方は力ある救い主で、勝利をお与えになる。
あなたのことをことのほか喜ぶ。
あなたを愛し、責めることはなさらない。」
聞こえてくるのは、
喜びにあふれた聖歌隊の歌声だろうか。
いや、神が、あなたがたのことを喜び、
歌っているのだ。
「わたしは傷ついた者を集め、あなたの恥を取り去ろう。
19 また、あなたを虐げた者をきびしく扱おう。
頼る相手のいない弱い者を救い、
追い払われた者を集めよう。
捕囚としてあざけられ、
辱めを受けたわたしの民に誉れを与えよう。
20 その時、わたしはあなたがたを呼び集め、連れ戻そう。
そして、全地のあらゆる国民の間で抜きん出た、
りっぱな名を授けよう。
あなたがたの目の前で、あなたがたを元どおり繁栄させる時、
彼らはあなたがたを称賛する。」
このように主が言う。
主の家を再建するようにとの呼びかけ
1 表題――主からのメッセージ。あて先――預言者ハガイ。それを、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアに伝えた。時代――ダリヨス一世の治世の第二年の第六の月の一日。
2 「なぜ、今はわたしの神殿を再建するのにふさわしい時ではないと、だれもが言うのか」と主は尋ねます。 3-4 彼らに対する主の答えはこうです。「では、神殿が荒れはてたままなのに、あなたがたはぜいたくな家に住むのにふさわしい時なのだろうか。 5 その結果を見よ。 6 たくさん種をまいても、ほとんど収穫がない。飲み食いにも事欠き、寒さを防ぐ衣服も十分にない。収入は、穴の開いた財布に入れるようにすぐなくなる。」
7 全能の主はこう言います。「自分たちがどのようなことをしてきたか、その結果どうなったかをよく考えなさい。 8 そして、山に登り、材木を切り出して、わたしの神殿を再建するのだ。わたしは喜んで受け入れ、わたしの栄光をそこに現そう。 9 あなたがたは多くを望んでも、少ししか得られない。それを家に持ち帰っても、わたしが吹き飛ばす。結局続かないのだ。なぜか。わたしの神殿が廃墟のままなのに、気にかけないからだ。自分たちのりっぱな家にばかり気を配っている。 10 それゆえ、わたしは天から雨を降らせず、わずかな収穫しか与えない。 11 事実、平地にも高地にも、日照りを呼び寄せた。麦もぶどうもオリーブも他の穀物も、みな干からび、人も家畜も飢えに苦しむ。いくら仕事に精を出しても、すべては水の泡だ。」
12 そこで、シェアルティエルの子でユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子で大祭司ヨシュアと、その地に残ったわずかな民は、ハガイが語った、彼らの神、主からのことばに従いました。真剣に主を礼拝するようになったのです。 13 その時主は、主の使者であるハガイを通して再びメッセージを送り、彼らに語りました。「あなたがたと共にいて祝福する」と。 14-15 そして、主は神殿再建の願いを彼らに起こさせたので、彼らはダリヨス王の治世第二年の第六の月の二十四日にみな集まり、進んで仕事に取りかかりました。
新しい家に約束された神の栄光
2 同じ年の第七の月の二十一日に、主は次のようなことばをハガイを通して彼らに送りました。 2 「総督と大祭司、およびこの地に残っているすべての者に、こう尋ねよ。 3 『あなたがたの中に、前にあった神殿を思い出せる者がいるか。それは栄光に輝く神殿であった。それに比べると、今は無に等しいのではないか。 4 しかし勇気を出せ、ゼルバベル、ヨシュア、すべての民よ。元気を出して働け。わたしが共にいるのだからと、全能の主が言われる。 5 エジプトを出た時、わたしの霊がおまえたちにとどまる、と約束した。だから恐れるな。』
6 全能の主は語ります。『しばらくして、わたしは天と地を、また海も、そして乾いた地を揺り動かし始める。 7 すべての国を揺り動かす。すべての国の望みである者がこの神殿に来て、わたしはここをわたしの栄光で満たす。 8-9 この神殿の未来の輝きは、最初の神殿の輝きより大きくなる。それに必要な金銀を、わたしがたくさん持っているからだ。そしてわたしは、ここに平和をもたらす』と主は言われる。」
汚れた人への祝福
10 ダリヨス王の治世第二年の第九の月の二十四日に、次のようなことばが、主から預言者ハガイを通して示されました。「 11 祭司たちに、律法について次のように尋ねよ。 12 『あなたたちのうちだれかが、聖なるいけにえを衣のすそに入れて運んでいて、そのすそがパンかぶどう酒か肉に触れたなら、触れたものも聖なるものとなるか。』」祭司は答えました。「いや、そんなことできよさは他のものに移らない。」
13 ハガイは続けて尋ねました。「しかし、だれかが死人に触れるなら汚れる。では、その人が何かに触れると、それも汚れるか。」「そのとおり」と祭司たちは答えました。
14 ハガイは質問の真意をはっきりさせて、こう言いました。「あなたがた民は、身勝手な態度と良くない思いをもって過ごすことで、自分がささげるいけにえを汚していた。いけにえだけではなく、わたしに対する奉仕として行うことも汚していた。 15 それで、なすことすべてうまくいかなかったのだ。だが、今からは違う。神殿を建て始めたからだ。 16-17 前には二十束の収穫を期待しても、十束しかなかった。五十桶分のオリーブ油を絞ろうとしても、二十桶分しか絞れなかった。立ち枯れ病と黒穂病と雹で、あなたがたの労働に報いたからだ。それでもあなたがたは、わたしのもとに帰ろうとしなかった、と主は言われる。
18-19 さあ今、このことを心に留めよ。この月の二十四日、すなわち、主の神殿の土台が据えられたこの日から、そしてこの日から先、わたしはあなたがたを祝福しよう。心に留めよ。あなたがたが神殿の再建を始める前、穀物を刈り入れる前に、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブが実を結ぶ前に約束しておこう。今日からのち、わたしはあなたがたを祝福する。」
主の指輪であるゼルバベル
20 同じ日に、主からもう一つのことばがハガイに示されました。 21 「ユダの総督ゼルバベルに告げよ。『わたしは天と地を揺り動かそうとしている。 22 王座をくつがえし、諸国民の王国の力を滅ぼそうとしている。わたしはその兵力を砕き、兄弟や仲間は互いに殺し合う。 23 しかし、そのことが起こったら、わたしのしもべゼルバベルよ、あなたを選んで、わたしの指にはめた印章のように誉れを授ける。わたしがあなたを選んだからだ。』このように、全能の主は言われる。」
神に立ち返れとの呼びかけ
1 表題――主からのことば。これはダリヨス王の第二年の第八の月に、ベレクヤの子、預言者イドの孫、ゼカリヤに主から示されました。
2 全能の主は、あなたがたの先祖に激しい怒りを燃やした。 3 だが、あなたがたが主のもとに帰りさえすれば主もあなたがたのもとに帰る。 4 先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちは、先祖たちに悪の道から離れるように訴えたが、むだだった。「さあ、わたしのもとに帰れ」と神、主は語った。だが彼らは聞こうとせず、全く心を向けなかった。 5-6 先祖も預言者も、とうの昔に死んでしまったが、彼らが学んだ、「神のことばは永遠にとどまる」という教訓を忘れてはならない。神のことばは彼らに迫り、彼らを罰した。それで、ようやく悔い改めたのだ。彼らは言った。「神から当然の報いを受けた。神は警告どおりのことをなさったのだ。」
ミルトスの木の間にいる人(第一の幻)
7 続く第十一の月、主からのことばが、夜の幻のうちに、ベレクヤの子で預言者イドの孫、ゼカリヤに示されました。
8 私は、川のそばのミルトスの木の間に、一人の人が赤い馬にまたがっているのを見ました。そのうしろに赤、栗毛、白の別の馬が続き、それぞれ人が乗っています。
9 一人の御使いが私のそばに立っていたので、「あの馬は何のためですか」と尋ねました。「話してあげよう」と彼は返事をしました。 10 そして、赤い馬に乗っていた人が答えました。その人は主の使いだったのです。「主が彼らを遣わして地上を巡回させたのだ。」 11 ほかの乗り手が主の使いに報告しました。「世界中を巡回したところ、どこも繁栄し平和です。」
12 これを聞いて、主の使いは祈りました。「全能の主よ。七十年間、あなたの怒りはエルサレムとユダの町々を襲いました。いつになったら、もう一度あわれみを示してくださるのでしょうか。」
13 主は、私のそばに立っている御使いに答えて、慰めと確信に満ちたことばを語りました。 14 その御使いは言いました。「全能の主からのこのことばを、大声で告げなさい。『ユダとエルサレムに起こったことに、わたしが無関心でいると思うか。夫が捕虜となった妻を思うように、わたしは彼らのことを思っている。 15 安逸をむさぼっている異教の国々に、激しい怒りを燃やしている。わたしは自分の民にほんの少し腹を立てただけなのに、その国々は彼らを、わたしが考えていたよりもずっとひどい目に会わせたからだ。』
16 そえゆえ、主は宣言します。『わたしはエルサレムに帰って、そこをあわれみで満たす。わたしの神殿は再建され、エルサレム全体も建て直される』と、全能の主が言われます。 17 もう一度言いなさい。『全能の主は、イスラエルの町々が再び栄え、主が再びエルサレムを慰め、祝福し、そこに住む、と宣言しておられる』と。」
四本の角と四人の鍛冶職人(第二の幻)
18 それから私は、動物の四本の角を見ました。 19 私はその御使いに、「これは何ですか」と尋ねました。「ユダとイスラエルとエルサレムを散らした四つの世界勢力を表している」と御使いは答えました。 20 それから主は私に、四人の鍛冶職人を見せました。 21 私は、「この人たちは何をしに来たのですか」と尋ねました。御使いが答えました。「ユダを散り散りにさせた四本の角をつかんで、金床の上でたたいて砕き、投げ捨てるために来たのだ。」
測り縄を持った人(第三の幻)
2 もう一度あたりを見回すと、一人の人が手に測り縄(物差しとして用いる縄)を持っているのが見えました。 2 「どこへ行くのですか。」「エルサレムを測りに行く。民全員を入れる大きさがあるかどうか、調べたいのだ」とその人は答えました。 3 私と話していた御使いが出て行くと、もう一人の御使いが彼に近づき、 4 こう言いました。「あの若者に、『いつの日かエルサレムは人であふれ、狭すぎるようになる』と告げなさい。町の城壁の外に多くの人がたくさんの家畜といっしょに住むようになる。それでも危険はない。 5 主が、彼らとエルサレム全体を守る火の城壁となるからだ。主はこの町の栄光となる。』
6-7 『さあ、北の国から、バビロンから逃げよ』と、主はバビロンに連れて行かれた者に言われる。「わたしはあなたがたを空中に散らしたが、もう一度連れ帰る。さあ、逃れよ、シオンに逃れよ。」 8 あなたがたを虐待した国々に私をお遣わしになった主は言う。『あなたがたを害するのは、わたしの目に指を突き刺すのと同じだからだ。 9 わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、彼らの奴隷が彼らの支配者となる。』その時あなたがたは、私を遣わした方が全能の主であることを知る。
10 エルサレムよ、喜び歌え。わたしが来て、共に住むからだと主は言われる。
11-12 その時、多くの国が主に心を向け、彼らもわたしの民となる。わたしは彼らすべてと共に住む。その時あなたがたは、私をあなたがたに遣わした方が全能の主であることを知る。ユダは、聖なる地で神の相続財産となる。神がもう一度エルサレムを選んで祝福するからだ。
13 すべての人よ、主の前で静まれ。主が天から、その聖なる住まいから地に来られるからだ。」
大祭司のためのきよい服(第四の幻)
3 それから、その御使いは私に幻の中で、主の使いの前に立っている大祭司ヨシュアを見せてくれました。サタンも主の使いの右手にいて、ヨシュアを多くのことで訴えていました。 2 主はサタンに言いました。「サタンよ、おまえの訴えは退ける。私、主が、エルサレムに情け深くすると決めたので、おまえを非難する。ヨシュアとその民を助けると決めた。彼らは火の中から取り出した燃えさしのようなものだ。」 3 主の使いの前に立った時、ヨシュアの服は汚れていました。 4 するとその御使いはそこに立っているほかの者たちに、「汚れた服を脱がせなさい」と言いました。それからヨシュアの方を向いて、「さあ、あなたの罪を取り去った。今、このりっぱな新しい服を着せよう」と言いました。 5-6 私が「どうぞ、きれいなターバンも」と言うと、彼らはそのとおりにしてくれました。
それから、主の使いはおごそかな調子でヨシュアに語りかけました。 7 「全能の主は、こう宣言される。『わたしが用意した道に従い、わたしが命じることをすべて行うなら、わたしの神殿を管理させ、そこをきよく保たせよう。そして、この御使いたちと共に、わたしの前を出入りさせる。 8 聞け、大祭司ヨシュアとほかの祭司たちよ。あなたがたは、やがて起こる良いことのしるしとなる人たちだ。わからないか。ヨシュアは、わたしが遣わす若枝(メシヤ)、わたしのしもべを表している。 9 彼は、ヨシュアがそのかたわらに立っている神殿の礎石となり、わたしはその上に七回、「わたしは一日で、この地の罪を取り去る」と彫りつける。』 10 全能の主はこう宣言される。『そののち、あなたがたは平和で豊かな生活をし、それぞれ自分の家を持ち、隣人を招くようになる。』」
金の燭台と二本のオリーブの木(第五の幻)
4 それから、話していた御使いが、私が眠っていたかのように私を呼び起こしました。 2 「今、何が見えるか。」「七つのともしび皿がついた金の燭台です。てっぺんにオリーブ油をためる所があり、七本の管を通ってそれぞれの皿に油が流れ込みます。 3 また、燭台の油タンクの両側に、オリーブの木が一本ずつ彫りつけてあるのが見えます。 4 何でしょう。意味がわかりません。」 5 「ほんとうに知らないのか。」「はい。知りません。」
6 「これは、ゼルバベルへの神のことばだ。『権力によるのでも、能力によるのでもなく、わたしの霊によって』と全能の主が言われる。あなたがたは少数で、弱いが、わたしの霊のゆえにやり遂げることができる。 7 だから、どんなに高い山が立ちはだかってもゼルバベルには何でもない。そして彼は、神のあわれみに大声で感謝しながらこの神殿を建て上げ、すべてが恵みによってのみ行われたと言うようになる。」
8 私は主から次のような別のことばを示されました。 9 「ゼルバベルは神殿の土台を据え、それを完成させる。その時あなたは、これらのことばが全能の主である神からのものであったことを知る。 10 これを小さなことと考えてはならない。主はその仕事が始まり、ゼルバベルの手に重りをつけた糸があるの見て喜んでいる。七つのともしびは、世界中を見渡す主の目を表すからだ。」
11 それから私は、燭台の両側にある二本のオリーブの木と、 12 二本の管を通して油を金の鉢に注ぐ二本の枝のことを御使いに尋ねました。 13 「あなたはこれが何か知らないのか。」「はい。」 14 「それは、全地の主を助ける、二人の油を注がれた者を表す。」
空中を飛ぶ巻物(第六の幻)
5 また目を上げると、空中を飛んでいる巻物が見えました。 2 「何が見えるか。」「飛んでいる巻物です。長さが二十キュビト(約九メートル)、幅が十キュビトくらいあるようです。」 3 「巻物は、全地に及ぶ神ののろいのことばを示している。盗みをしたり、うそをついたりする者はみなさばかれ、死刑の宣告を受けたと書いてある。」 4 全能の主は言います。「こののろいを、すべての盗人の家と、わたしの名によって偽りの誓いをするすべての者の家に送る。わたしののろいはその家にとどまり、徹底的に滅ぼす。」
かごの中の女性(第七の幻)
5 それから御使いは、しばらく私を置き去りにしていましたが、戻って来てこう言いました。「上を見よ。何かが空を通って行く。」 6 「何ですか、あれは。」「全地にはびこる罪でいっぱいの大きなかごだ。」 7 突然、かごの重い鉛のふたが開きました。かごの中に一人の女が座っているではありませんか。 8 御使いは「この女は罪悪を表している」と言い、女をかごに押し込め、重いふたをしっかりかぶせました。 9 続けて見ていると、こうのとりのような翼を持った二人の女が、こちらに飛んで来ました。二人は大きなかごを持つと、空高く舞い上がりました。 10 「かごの中の女を、どこへ連れて行くのですか」と私は尋ねました。 11 「バビロンだ。そこにかごのために神殿を建て、それを拝むことになる。」
四台の戦車(第八の幻)
6 それから、また見上げると、青銅でできた二つの山のように見えるものの間から、四台の戦車が出て来ました。 2 初めの戦車は赤毛の馬たちが、次のは黒い馬たちが、 3 三番目のは白い馬たちが、四番目のあし毛の馬たちが引いています。 4 「これは何ですか」と私が尋ねると、 5 御使いは答えました。「全地の主の前に立つ、天の四つの霊だ。自分の仕事を行うために出て行くところだ。 6 黒い馬が引く戦車は北へ行き、白い馬のがあとに従う。あし毛の馬が引く戦車は南へ行く。」 7 赤い馬たちは、出て行って地を駆け巡るのを待ちきれないでいました。そこで主が、「行け。巡回を始めよ」と言うと、すぐ出て行きました。 8 その時、主は私を呼んで、こう言いました。「北へ行った者たちはわたしのさばきを執行し、その地でわたしの怒りを静める。」
ヨシヤの冠
9 主から別のことばがありました。 10-11 「ヘルダイとトビヤとエダヤは、バビロンで捕囚の身となっているユダヤ人からの贈り物として、金や銀を持って来る。一行が着いたその日に、ゼパニヤの子ヨシヤの家で出迎えよ。そこに彼らは滞在することになる。贈り物を受け取り、そこから、金と銀で冠を作れ。そして冠をエホツァダクの子大祭司ヨシュアにかぶせる。 12 全能の主がこう言われると彼に告げよ。『あなたは、やがて来る人を表している。その名は「若枝」で、自分自身から成長し、主の神殿を建てる。 13 さらに王の称号を受ける。彼は王としても、祭司としても世を治め、二つの間には完全な一致がある。』 14 それから、ささげ物をしたヘルダイ、トビヤ、エダヤと、ヨシヤの栄誉のために、主の神殿にその冠を安置せよ。 15 遠い地から来たこの三人は、主の神殿を再建するために、いつか遠い地から来る人々を表している。そのことが起こる時、あなたがたは、私のことばが全能の主である神からのものであったことを知る。だが、神である主の命令に注意して従わないなら、このようなことは一つも起こらない。」
断食ではなく正義とあわれみを
7 ダリヨス王の第四年の第九の月に、主から私にことばがありました。
2 ベテルの町のユダヤ人は、王の行政長官サル・エツェルとレゲム・メレクの率いる人々を、エルサレムにある主の神殿に遣わしました。それは、神の祝福を求めるためと、 3 毎年第五の月に断食をして嘆くという伝統的習慣を続けるべきかどうか、祭司や預言者に尋ねるためでした。
4 主の答えは次のとおりでした。 5 「ベテルに帰ったら、全住民と祭司たちに言いなさい。『捕囚の七十年間、あなたがたは第五の月と第七の月に断食して嘆いたが、本気で罪から離れてわたしに帰ろうとしたか。全く、そんなことはなかった。 6 そして今、神への聖なる祝宴の時も、わたしのことなど考えず、自分たちのことばかり考えている。 7 昔、エルサレムが栄え、その南方にも平地に沿って人が大ぜい住んでいたころ、預言者が警告していたのは、このような状態のままでは滅びを免れないということだったが、そのとおりになった。』」
8-9 それから、主からゼカリヤに、次のようなことばがありました。「彼らにこう言いなさい。正直に公平にふるまえ。わいろを取ることなくだれに対しても情け深く、親切にせよ。 10 未亡人や孤児、外国人や貧しい人を虐げることをやめ、互いに悪をたくらむな、と彼らに告げなさい。 11 あなたがたの先祖は、それに耳を貸そうとしなかった。強情に顔をそむけ、耳をふさいでわたしのことばを聞くまいとした。 12 心を火打ち石のように堅くして、全能の主である神が命じたことば、主の霊によって先の預言者たちを通して示された教えを聞くことを怖がった。だから、あれほど激しい神の怒りが下ったのだ。 13 わたしが呼んでも、彼らは聞こうとしなかった。それでわたしは、彼らがわたしに向かって叫んだ時、顔をそむけた。 14 彼らをはるかかなたの国々に、つむじ風で吹き飛ばすようにまき散らした。彼らの地はさびれ、行き交う者もいなくなった。麗しい地は荒れすたれ、不毛の地となった。」
エルサレムを祝福するという神の約束
8 再び主のことばが私にありました。 2 全能の主はこう言います。「エルサレムの敵がエルサレムに行ったすべてのことで、わたしは心穏やかでないどころか、激しく怒っている。 3 今、自分の地に帰り、自分から進んでエルサレムの中に住もう。エルサレムは『忠実な町』『聖なる山』『全能の主の山』と呼ばれるようになる。」 4 「エルサレムには平和と繁栄が長く続くので、再び、通りは老人たちが杖をついてゆっくり歩き、 5 子どもの遊ぶ声でいっぱいになる」と。
6 主は言います。「こんなことは、わずかな生き残りで落胆しているあなたがたにはとても信じられないだろう。だが、このわたしには取るに足りないことだ。 7 たとえどこに散らされていても、わたしの民を西からも東からも救い出す。そのことを確信してよい。 8 彼らを故郷に連れ帰り、安全にエルサレムに住まわせる。彼らはわたしの民となり、わたしは公正と真実をもって彼らの神となる。」
9 全能の主は言います。「仕事を進めて完成させよ。もう長く聞いてきたことだ。神殿の基礎工事が始まって以来、預言者たちは、完成のあかつきには祝福が待っていると言い続けてきたのだから。 10 工事が始まる前は、仕事も収入も安全もなかった。町を出たら、戻れる保証はなかった。犯罪がはびこっていたからだ。」
11 全能の主は言います。「しかし今、すべてが変わった。 12 あなたがたの間にわたしが平和と繁栄の種をまいているからだ。穀物の収穫は豊かで、ぶどうの枝は実の重みでたれさがる。雨に恵まれて土地は肥沃になる。この地に残された民に、これらの祝福がすべて与えられる。 13 『ユダのように貧しくなるがいい。』人をのろうとき、異教徒はそう言った。それもこれまでだ。今からは『ユダ』はのろいのことばではなく、祝福のことばとなる。人々は、『ユダのように栄え、幸せであるように』と言うだろう。だから、恐れたり、気落ちしたりするな。神殿の再建を進めるのだ。
14-15 そうすれば、必ずあなたがたを祝福する。わたしが心変わりするかもしれないなどと思うな。あなたがたの先祖がわたしを怒らせた時、わたしは必ず罰すると約束し、言ったことを実行した。あなたがたを祝福するという決意も変えることはしない。 16 これがあなたがたの果たすべき役割だ。真実を語り、公平であれ。すべての人と平和に暮らしなさい。 17 人を傷つけることをたくらんではならない。ほんとうではないのに、ほんとうだと誓ってはいけない。わたしはそのようなことを憎むからだ。」
18 さらに次のようなことばが、主から私に示されました。 19 「第四の月、第五の月、第七の月、第十の月に守ってきた断食はもう終わりだ。あなたがたが真実と平和を愛するなら、それは喜びの祝祭に変わる。
20-21 世界中から人々が巡礼に訪れ、この例祭に参加しようと、外国の多くの町から人々がエルサレムへ押しかける。人々は、他の町にいる親しい者に手紙を書いて、『主の祝福とあわれみを求めて、エルサレムへ行きましょう。私も行きます。いっしょに行きましょう。さあ、今!』と言う。 22 多くの人が、強い国々からも、祝福と助けを求めてエルサレムにいる全能の主のもとに来る。 23 その時には、いろいろな国から来た十人の者が、一人のユダヤ人の上着のそでをつかんで、『どうか友だちになってください。神があなたがたと共におられるのはわかっていますから』と言うようになる。」
イスラエルの敵に対するさばき
9 このことばは、ハデラクとダマスコの地に対する
神ののろいに関するものです。
主がイスラエルだけでなく、
全人類をくまなく見ているからです。
2 「ダマスコに近いハマテにも、
抜け目のないツロやシドンにも審判が下される。
3 ツロは完全武装し、大金持ちになったので、
ツロにとって銀は泥のようなもの、
純金は道のほこりのようなものだ。
4 だが、わたしはツロの所有物を取り上げ、
とりでを海に投げ込む。
ツロは火をつけられて焼け落ちる。
5 アシュケロンは、これを見て恐れに満ち、
ガザは絶望でうずくまり、
エクロンは恐怖で震える。
ツロが敵の前進を防いでくれると思っていたのに、
望みは断たれてしまうからだ。
ガザは征服されて王が殺され、
アシュケロンは完全に破壊される。
6 外国人が、繁栄を誇るペリシテ人の町アシュドデを
占領する。
7 わたしは、その口から偶像崇拝を引っぱり出し、
歯の間から血といっしょに食べたいけにえを引き出す。
残された者はみな、神を礼拝し、
イスラエル人の新しい一族となる。
エクロンのペリシテ人は、昔のエブス人のように、
ユダヤ人と結婚する。
8 わたしはイスラエルに侵入する敵を防ぐ見張りのように、
わたしの神殿を囲む。
敵の動きを見張り、近づかせない。
外国の迫害者がわたしの民の地を襲うことは
二度とない。
シオンの王の到来
9 わたしの民よ、大いに喜べ。
歓声を上げよ。
見よ。おまえたちの王が来る。
その王は正しい方、勝利者だ。
柔和で、ろばの子に乗っている。
10 わたしは、イスラエルにいるわたしの民も含めて、
地上のすべての民の武装を解除する。
この王は諸国に平和をもたらす。
その領土は海から海へ、川から地の果てに及ぶ。
11 わたしはおまえを、
水のない穴で死なないように助け出した。
血でサインした、あなたとの契約を守るためだ。
12 囚人たちよ、安全な場所に来なさい。
まだ希望がある。
味わった苦悩の二倍の祝福を返すと今約束しよう。
13 ユダよ、おまえはわたしの弓だ。
エフライムよ、おまえはわたしの矢だ。
二人とも、わたしの剣、
ギリシヤ人に向かって勇士が振りかざす剣のようだ。」
主が現れる
14 主は戦っているご自分の民の先頭に立ちます。
その矢は、いなずまのように飛びます。
神である主は召集ラッパを吹き鳴らし、
南から砂漠を通って吹いて来るつむじ風のように、
敵に突進するのです。
15 神の守りがあるので、神の民は敵を制圧し、
踏みにじるでしょう。
彼らは勝利を味わい、勝ちどきを上げます。
敵は殺され、至る所で恐ろしい大虐殺が行われます。
16-17 その日、彼らの神である主は、
羊飼いが羊の世話をするようにご自分の民を救います。
彼らは、王冠にきらめく宝石のように、
神の地で光り輝くのです。
すべてはなんとすばらしく、美しいことでしょう。
あり余る穀物とぶどう酒が、
青年たちをはつらつとさせます。
彼らは健康と幸福に満ちあふれるのです。
主がユダを守る
10 春の雨を主に願いなさい。
そうすれば、いなずまと夕立で答えてくれます。
どこの野も青々とした牧場となるでしょう。
2 そのようなことを偶像に願い求めるのは、
なんと愚かなことでしょう。
占い師の予言することは、ばかばかしい偽りだけです。
実現しない約束に、どんな慰めがあるでしょうか。
ユダとイスラエルは、迷子の羊のように
迷い出てさまよっています。
守ってくれる羊飼いがいないので、
攻撃の的にされているのです。
3 「わたしの怒りは、あなたがたの『羊飼い』である
指導者たちに向かって燃え上がる。
わたしは、この雄やぎを罰する。
全能の主が、自分の羊の群れであるユダを
助けに来たからだ。
わたしは彼らを強くし、
戦場を誇らしげに駆ける軍馬のようにする。
4 彼らの中から礎石が、
すべての望みがその上にかかる杭が、
戦いを勝利に導く弓が、
全地の支配者が出て来る。
5 彼らは神のために戦う力強い戦士となり、
敵の顔を泥に押しつけ、踏みつける。
戦いには、主が共にいるので、敵は全滅する。
6 わたしはユダを、そしてイスラエルをも強くする。
彼らを愛しているので、立て直すのだ。
彼らは、わたしが捨てたことがない者のようになる。
彼らの神、主であるこのわたしが、
その叫びを聞くからだ。
7 彼らは力強い戦士のようになる。
ぶどう酒に酔った時のような喜びを味わい、
子どもたちも主のあわれみを見て喜ぶ。
彼らの心は主にあって喜びにあふれる。
8 わたしが口笛を吹くと、みな駆け寄って来る。
わたしが連れ戻したからだ。
残されている者は少ないが、
以前と同じくらいに数が増える。
9 わたしは彼らを種のように諸国にまき散らしたが、
それでも彼らはわたしを思い出し、
神のもとへ帰って来る。
子どもたちをみな連れて、
イスラエルのわが家へ帰って来る。
10 わたしは彼らをエジプトとアッシリヤから連れ戻し、イスラエルに、ギルアデとレバノンに再び住みつかせる。
そこは、すべての者が住むには狭すぎるようになる。
11 波が退くので、彼らは困難の海を安全に通り過ぎる。
ナイル川は干上がる。
わたしの民に対するアッシリヤとエジプトの支配は、
終わりを告げる。」
12 主は言います。
「わたしから出る力によって、わたしの民を強くする。
彼らはどこへでも行きたい所へ行き、
どこへ行っても、わたしの保護のもとにある。」
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