Beginning
エルサレムとユダの指導者への叱責
28 よく肥えた谷に囲まれたサマリヤの町は、
恐ろしい目に会います。
酔いどれイスラエルの誇りであり、
喜びでもあるサマリヤよ。
その色あせていく美しさと、
路上で酔いつぶれている者にとっての最大の栄誉は、
見る影もなくなります。
2 主があなたに、アッシリヤの強大な軍隊を
差し向けるからです。
荒れ狂う雹の嵐のように、
大軍が襲いかかり、あなたを地にたたきつけます。
3 酔いどれイスラエルの喜びだった
高慢なサマリヤの町は、地面に投げつけられ、
踏みにじられます。
4 よく肥えた谷に囲まれた、まぶしいまでの美しさは、
またたく間に消え、初なりのいちじくの実が
摘み取られて口に放り込まれるように、
貪欲な手で、もぎ取られます。
5 その時になって、
全能の主が彼らの最大の栄誉となり、
残った民の美しい冠となります。
6 主は、裁判官には正義心を、
城門の外で最後まで踏みとどまって戦う兵士には、
大きな勇気を与えます。
7 しかし今のところ、
エルサレムは酔いどれの手に握られています。
祭司も預言者も足もとがふらつき、
考えられない過ちを犯します。
8 彼らの食卓は吐いた物だらけで、
どこもかしこも汚物でいっぱいです。
9 民は口々に不平を言います。
「イザヤは自分をだれだと思っているのか。
このようなことを私たちに言うとは。
ろくにしゃべれない子どもとでもいうのか。
10 もうたくさんだ。
同じことをくどくどと、何度にも分けて少しずつ話す。
それでは、子どもでもわかるだろう。」
11 こう言って、いっこうに耳を貸そうとしません。
彼らに思い当たるのは、
罰を受けるということばだけです。
だから神は罰として、よくわからない話し方をする
外国人を送って彼らに語らせます。
そうなって初めて、
彼らは神のことばを聞くようになるのです。
12 最初から神の命令を守り、
正しい生活を送っていたなら、
自分の国で安らぎをもって暮らせたはずです。
せっかくの神の約束に、彼らは耳をふさぎました。
13 そこで主は、機会あるごとに、
わかりやすいことばで同じことを語りました。
ところがこの簡単明瞭なことばに、
彼らはつまずいて倒れ、足を折り、
罠にかかって捕らえられるのです。
14 それゆえ、あざけるエルサレムの指導者たちよ、
主のことばを聞きなさい。
15 あなたがたは死と契約を結んだとうそぶいている。
しかも、アッシリヤ人の攻撃から守ってもらうという
交換条件で、悪魔に身を売り渡したのだ。
「彼らは、われわれに指一本ふれることもできない。
われわれには、彼らをあざむいてくれる
強い味方がついているのだ」と、
おまえたちは高をくくっている。
16 しかし、神である主のことばは違います。
「わたしはシオンに土台石を置く。
それは試験ずみの、かけがえのない隅の親石で、
どんな重さにも耐える。
信じる者は二度と逃げなくてもよい。
17 わたしは測りなわと正義の重りで、
おまえたちの城壁の基礎工事を調べる。
それは、見た目にはりっぱだが、実際はもろく、
雹の嵐で簡単にくずれる。
敵は洪水のように押し寄せて城壁をのみ込み、
おまえたちはおぼれる。
18 わたしは、おまえたちが死や悪魔と結んだ協定を
破棄するので、恐ろしい敵がなだれ込み、
おまえたちを踏みにじる。
19 洪水はくり返し襲いかかり、
おまえたちを一人残らず押し流す。
だから、わたしが前もって警告しておいたことが
実際どれほど恐ろしいことか、身にしみてわかる。」
20 あなたがたの作ったベッドは短くて足が出るし、
毛布は小さすぎて体をくるむことができません。
21 主は、ペラツィム山での時(ダビデがペリシテ人を打ち破った出来事。Ⅱサムエル5・18~20)のように、
ギブオンの谷での時(ヨシュアがエモリ人の王を打ち殺した出来事。 ヨシュア10・10)のように、
思わぬ時に突然来て、神の民を滅ぼすという、
ありえないことをします。
22 だから、刑罰がいっそう重くならないためにも、
これ以上あざけってはいけません。
主である神は私にはっきりと、
あなたがたを押しつぶすことにした、
と語っているからです。
23-24 私の言うことをよく聞き、
私の嘆願に耳を傾けなさい。
農夫は、畑を耕すばかりで、
いつまでも種をまかないでいるでしょうか。
25 耕し終えたら、さまざまの穀物の種を、
それぞれの場所にまかないでしょうか。
26 農夫は作物をどのように扱えばよいかを知っています。
神が、物事を見て正しく判断する力を
与えたからです。
27 どの穀物も同じように脱穀したりはしません。
いのんどの実は、大槌ではなく棒で打ちます。
クミンの場合は、脱穀車の車輪を回して
押しつぶすのではなく、からざおで静かにたたきます。
28 パンの材料になる麦はすぐにつぶれるので、
いつまでもたたいたりはしません。
29 全能の主はすぐれた教師であり、
農夫に知恵を授けるのです。
ダビデの町への叱責
29 「ああ、ダビデの町エルサレムよ、
おまえは大きな災難に会う。
年ごとに、おまえは多くの供え物をささげる。
2 しかし、わたしが重い罰を加えるので、
泣き声と悲しみがあふれる。
「アリエル」というあだ名のとおり、エルサレムは血だらけの祭壇になるからだ。
3 わたしはおまえの敵となる。
エルサレムを包囲し、攻めたて、
周囲に要塞を築いて滅ぼす。
4 おまえの声は、埋められた地中から、
幽霊のようにかすかに聞こえるばかりだ。
5 だが残酷な敵も、あっという間に
もみがらのように吹き飛ばされる。
6 天の軍勢の主であるわたしは、雷と地震とつむじ風、
火をもって不意に彼らに襲いかかる。
7 エルサレムに戦いをいどむ国はすべて、
一夜の夢のように消え去る。
8 空腹の人が食事の夢を見ても
変わらず空腹であるように、
また、のどの渇いた人が水を飲む夢を見ても
変わらず渇きで苦しむように、
敵は勝利の夢を見るが、現実とはならない。」
9 あなたがたは信じられないのですか。
信じたくないのなら、かってに行動し、
見えない目で進んで行きなさい。
あなたがたは頭の働きが鈍くなりますが、
ぶどう酒に酔ったせいではありません。
足がふらつきますが、強い酒のせいではありません。
10 主が深い眠りの霊を注いだからです。
主が預言者や先見者の目をふさいだので、
11 将来の出来事のいっさいは、彼らにとって封をされた書物同然になりました。ですから、いくら読解力のある人に渡しても、「読めません。封がしてありますから」と答えます。 12 別の人に回すと、「残念ながら、私は文字を読むことができません」という返事です。
13 そこで主は語ります。
「この民は、口先ではわたしの民だと言いながら、
実際にはわたしに従っていない。
彼らの礼拝は、機械的に覚えた文句の反復にすぎない。
14 もう黙ってはいられない。
偽善者どもに思い知らせよう。
最高の知恵さえ、愚か者同然にしてしまおう。」
15 ああ、自分の計画を神に隠そうとする者、
陰で悪を行う者。
彼らは言います。
「神はこんなところまで目が届かない。
ここで何が起こっているかなど、
知っているわけがない。」
16 なんと愚かなことを言うのでしょう。
陶器師である神は、陶器にすぎないあなたがたより
偉くないのでしょうか。
あなたは神に向かって、
「あなたは私を造らなかった」と反抗するのですか。
機械がその考案者に、「あなたを解雇する」
と言うでしょうか。
17 もうしばらくすると、レバノンの荒野は
再び実り豊かな平野となり、
樹木が茂るよく肥えた森となります。
18 その日、耳の聞こえない人が書物のことばを聞き、
盲人は暗闇ごしに神の計画したことを見ます。
19 柔和な人は主からくる新しい喜びにあふれ、
貧しい人はイスラエルのきよい神によって
喜び踊ります。
20 弱い者をしいたげる者はいなくなり、
あざける者は断たれ、
悪事を企む者は一人残らず殺されます。
21 そういう者たちは、
ほんの少しのことにも言いがかりをつけては
けんかを売り、裁判になれば、
有罪の判決を下した裁判官を待ちぶせて
袋だたきにします。
あらゆる口実をもうけて不正を行うのです。
22 それゆえ、アブラハムを贖い出した主は、
こう語ります。
「わたしの民は恐れのあまり青ざめたり、
恥じ入ったりしない。
23 人口が急増し、経済が発展するのを見て、
わたしの名を恐れ、わたしをたたえるようになる。
24 間違いを犯していた者は真理を信じ、
不平ばかり言っていた者は、
進んで教えを受けるようになる。」
ファラオに頼ることのむなしさ
30 主は語ります。
「ああ、逆らってばかりいるわたしの子どもたち。
おまえたちは、わたし以外の者なら、
だれの忠告でも聞く。
しかも、これだけはしてもらいたくないことを、
平気でする。
不信者と手を結び、罪を重ねる。
2 わたしとは相談せず、助けを求めてエジプトへ下り、
ファラオの保護をあてにした。
3 しかし、ファラオをあてにすれば失望し、
屈辱を受け、恥がもたらされることは間違いない。
彼にはおまえたちを救う力などないからだ。
4 たとえ王の勢力がツォアンにまで及び、
おまえたちを歓迎する使者を
ハネスにまで遣わしても、
5 わずかな助けもできない。
おまえたちは恥をかくだけだ。
6 エジプトめざして、
恐ろしい荒野を進んで行く様子を思い浮かべよ。
エジプトの援助を買いつけるための宝物を積んだ、
ろばやらくだの列が進む。
ライオンやすばしこいまむしの住む地を越えて行く。
ところがエジプトは、何一つお返しをしてくれない。
7 エジプトは助ける力もない。
わたしはこの国を、『無気力なわに』と呼ぶ。
8 さあ、行って、
エジプトについてわたしが言ったことを書き記せ。
のちのちまで、イスラエルの不信仰に対する
起訴状として残しておくためだ。
9 そうでもしなければ、彼らは口をとがらせて、
『何ですって。神はただの一度だって、
そんな警告はしませんでした』と
文句を言うに違いない。
彼らは意地っぱりで、強情な反逆者だ。
10-11 神の預言者たちに向かって、彼らは言う。
『黙れ。おまえの言うことなど、
もう聞きたくもない』とか、
『ほんとうのことなど、どうでもいい。
耳ざわりのいいことだけを話してくれ。
うそでもかまわない。陰気くさいことはまっぴらだ。
「イスラエルのきよい神がこう言った」という
決まり文句はうんざりだ』と言う。」
12 イスラエルの聖なる神の返事はこうです。
「おまえたちはわたしの言うことを無視し、
根も葉もないことを信じて悔い改めようとしなかった。
13 それゆえ、災難が突然おまえたちを襲う。
ちょうど城壁にひびが入り、
がらがら音を立ててくずれ落ちるように、
あっという間の出来事だ。
14 わたしは皿を割るようにおまえたちを砕き、
少しも手かげんしない。
いろりから炭火を移したり、
井戸の水を少しでも運べるほどの破片も残らない。」
15 イスラエルのきよい神、主は、こう語ります。
「わたしに立ち返り、わたしの助けを
待ち望みさえすれば、おまえたちは救われる。
心を落ち着けて信頼することが、
おまえたちの力となるのだ。
ところがおまえたちは、そうしなかった。」
16 あなたがたは言います。
「とんでもないことだ。
さっそくエジプトの力を借りよう。
足の速い軍馬を提供してくれるはずだ。」
しかし実際に見るのは、
あなたがたを追いかける敵の速さだけです。
17 たった一人の敵に千人が追い回され、
わずか五人の敵で散り散りばらばらにされます。
こうしてあなたがたは、
遠くの山頂のまばらに生えた木のようになるのです。
18 しかし主は、あなたがたを愛し、
いつの日か、みもとに帰って来るのを待っています。
約束どおり、あなたがたをむりやりつかまえてでも
祝福しようと待ちかまえています。
主は約束は必ず守るお方なので、
主の助けを待ち望む人は幸いです。
19 エルサレムに住む私の民よ、もう泣くことはありません。神はあなたの叫びにこたえ、必ず恵みを与えるからです。 20 獄中でわずかなパンと水しか与えられないときでさえ、主はあなたのそばにいて教え導いてくれます。あなたは自分の目でその主を見ることができるのです。 21 あなたが神の道を離れて迷っても、うしろから、「そちらではない。こっちの道を歩きなさい」という声が聞こえます。 22 あなたは金や銀で造った偶像を打ち砕き、それらを手にするのも汚らわしい物のように、「消えうせろ」と言って投げ捨てるでしょう。
23 そののち、神は種まく時期には雨を、収穫時には黄金の穂波を、また乳牛には牧草をたっぷりと与えます。 24 畑を耕す雄牛や若いろばは、もみがらを除いたおいしい穀物を食べます。
25 神が乗り出して敵を滅ぼすとき、どの山や丘からも水が豊かに流れます。 26 主がご自分の民の傷をいやすときには、月は太陽のように明るくなり、太陽の光は七倍も明るく輝くのです。
27 主が怒りを燃え上がらせ、立ち上る濃い煙に包まれて
遠くから来る様子を見なさい。
口は激しい怒りの火を吐き、
ことばは炎のように何もかも焼き尽くします。
28 憤りは洪水のようにあふれ、
人も物も洗いざらい流し去ります。
神は思い上がった国々をふるいにかけ、
くつわをかけ、ほふり場へ連れて行きます。
29 しかし神の民は、聖なる祭りの晩のように、
心をこめて喜びの歌を歌います。
巡礼の一団が笛の音に合わせて、
イスラエルの岩である主の山へ
登って行くときのように、心をはずませます。
30 主が威厳ある声を響かせ、
怒りをこめて敵の頭上に力強い腕を振り下ろすとき、
燃える炎とつむじ風、
恐ろしい嵐と大きな雹の音となります。
31 主は恐ろしい声で、
以前は懲らしめの杖の役目をした
アッシリヤ人を罰するのです。
32 彼らが打たれるたびに、主の民は音楽を奏で、
歌を歌って喜びます。
33 アッシリヤのためには、
ずっと前から火葬のたきぎが高く積み上げてあります。
主の息が吹き上げる火山の火のように、
たきぎの山を一瞬のうちに燃やしてしまいます。
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