Beginning
神への誓いを果たしなさい
5 1-3 神殿に入るときは、耳をすまして、口は堅くつぐみなさい。神に軽はずみな約束をするのは罪です。それがわからないほど愚かになってはいけません。神は天におられ、私たちは地にいるのですから、ことば数はできるだけ少なくすべきです。
仕事が多いと悪夢にうなされ、
口数が多いと愚かになる。
4 神に、何かをすると誓いを立てたときは、すぐに実行しなさい。神は、愚かな人間を喜ぶことがないからです。神との約束は、どんなことがあっても果たしなさい。 5 何かをすると言いながらしないより、初めから口にしないほうがずっと良いのです。 6-7 約束を果たさないなら、口で罪を犯すことになります。神の使者に、「誓いを立てたのは間違いでした」などと弁解してはいけません。それを聞いて神は腹を立て、あなたの繁栄を奪い去るかもしれないからです。
夢ばかり見ていて実行しないのは愚かで、
むなしいことばが多いと、
滅びを招きます。
そんなことをしないで、神を恐れなさい。
富はむなしい
8 貧しい人が金持ちにいじめられ、国中で正義が踏みにじられているのを見ても、別に驚くにあたりません。どの役人にも上役がいて、その上にさらに高官がいるからです。それが国の政治の仕組みなのです。 9 その全体の上に王が立てられています。その王が国のために献身する王なら、どんなにすばらしいことでしょう。そうした人物だけが国を混乱から救えるのです。
10 金銭を愛する者は、決してこれで満足だということがありません。金さえあれば幸せだという考えは、なんと愚かなことでしょう。 11 収入が多くなれば、それに応じて支出も多くなります。金銭にどんな利益があるというのでしょう。彼らは金銭が指の間からこぼれ落ちていくのを眺めていることしかできないのです。 12 汗水流して働く人は、満腹していようが腹をすかしていようが、ぐっすり眠ることができます。しかし、金満家は不安につきまとわれ、不眠に悩まされます。 13-14 私はまた、ここかしこに深刻な問題があるのに気づきました。せっかくの貯金が危険な投資に使われ、子どもに残す財産もなくなってしまうという現実です。 15 投機に手を出す者は、すぐさま無一文の振り出しに戻ります。 16 これは言ったように、とても深刻な問題です。どんなに働いても、ざるで水をくむようなものであり、風を追うようなものです。せっかく手に入れたものが、全部なくなってしまうのです。 17 残る生涯を暗い気持ちで、失意と挫折感、怒りを持ちながら生きることになります。
18 でも、良いことが少なくとも一つあります。生きている限りは、おいしい物を食べ、上等のワインを飲み、置かれた立場を受け入れ、与えられた仕事がどのようなものであれ、それを楽しむことです。 19-20 主のおかげで財産家になり、健康にも恵まれているとしたら、それこそ申し分のないことです。仕事を楽しみ、与えられた人生に満足することこそ、神からの贈り物です。こういう人は、神から喜びを与えられているのですから、悲しい思いで過去を振り返る必要などありません。
6 1-2 至るところに、悲しい不幸が見られます。ある人は神から巨万の富と名誉を与えられ、欲しいものは何でも手に入る身分でありながら、人生を楽しむだけの健康に恵まれていません。そのため早死にして、全財産を他人の手に渡すことになってしまいます。これは実に悲しむべきことで、やりきれない思いがします。
3 一方でもし、百人の息子と娘に恵まれ、長寿を得ながら、わずかばかりの遺産もなく、満足な葬式さえ出せなかったとしたら、この人は生まれて来なかったほうがよかったかもしれません。 4 たとえその誕生が喜ばれず、闇から闇に葬られ、名前さえつけてもらえず、 5 その存在さえ知られないとしても、死産の子のほうがみじめな老人になるよりずっとましです。 6 何千年生きたとしても、満足することがなければ、生きていることに何の価値があるのでしょう。
7-8 知恵ある者も愚か者も、
食べ物を得るために人生を費やすが、
もうこれで十分だということはない。
そういう意味では、どちらも同じです。しかし、貧しくても知恵ある人は、ずっと良い生活をしています。 9 手の中の一羽の鳥は、やぶの中の二羽より価値があります。あこがれているものを夢見ているだけであればむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
10 あらゆるものには定めがあります。それぞれの将来は、ずっと以前からわかっているのです。だから、自分の運命について神と議論しても無駄です。
11 しゃべればしゃべるだけ、口にすることばの意味が薄れてきます。だから、全然しゃべらないほうがましなのです。
12 短くむなしい人生を、どのように過ごすのが最善なのかはだれにもわかりません。死んだ先のことまで考えると、何が最善かを知ることはできません。将来のことがわかる人は一人もいないのです。
知恵について
7 良い評判を得ることは、
最高級の香水より値打ちがあり、
死ぬ日は生まれた日より大切である。
2 宴会に顔を出すより、
葬式に列席するほうがよい。
やがて死ぬわけだから、
生きているうちに死について考えるのは良いことだ。
3 悲しみは笑いにまさっている。
悲しみは、私たちの心から
不純物を取り除く効果があるからだ。
4 知恵ある者は死についてじっくり考えるが、
愚か者はどうしたら今
愉快に過ごせるかだけを考える。
5 愚か者からちやほやされるより、
知恵ある者に痛烈な批評を受けるほうが良い。
6 愚か者のお世辞は、火にくべた紙切れのように、
何の役にも立たない。
そんなものに心を動かすのは、
なんとむなしいことか。
7 知恵ある者も、わいろによって愚かな者になる。
わいろは人の判断力を麻痺させるからだ。
8 終わりは初めにまさっている。
忍耐は高慢にまさっている。
9 短気を起こしてはならない。
短気は愚か者の特徴だからだ。
10 過ぎ去った昔の栄光に未練を残してはいけない。
ほんとうに昔が今より良かったか、わからないからだ。
11 知恵ある者になることは、金持ちになるのと同じくらい
いや、それ以上の価値がある。
12 知恵からでも金銭からでも、
利益を上げることができる。
しかし賢くなることのほうが、
多くの利点がある。
13 神のすることに目を留め、それに従いなさい。神が決めたことを変えることなどできません。 14 順境のときには、できるだけ楽しみなさい。逆境が訪れたら、神は与えると同時に取り上げる方だと知りなさい。こうしてすべての人が、この世ではあらゆるものがむなしいと悟るのです。
15-17 私は、このむなしい人生のすべてを見てきました。正しい人が若死にし、悪人がたいそう長生きすることもあるのです。だから、正しすぎたり、知恵がありすぎたりして、自滅してはいけません。かといって、悪人になりすぎるのも、愚か者になるのも考えものです。自分の時が来る前に死んではいけません。 18 任せられた仕事は、どんなことがあっても手放してはいけません。神を敬っているなら、必ず神からの祝福を期待できるのです。
19 知恵ある者は、町の十人の有力者の力を合わせたより力があります。 20 この世界には、いつも品行方正で一度も罪を犯さない人など一人もいません。
21-22 人の言うことをすべて気にしてはいけません。時として使用人からのろわれるかもしれません。あなたも、何度も人をのろったはずです。
23 私は知恵ある者になろうと、できるだけのことをしてみました。「知恵ある者になりたい」と人前で言ってみましたが、知恵ある者になることはできませんでした。 24 知恵は遠いかなたにあって、探し出すのはきわめて困難です。 25 私は知恵と道理を見つけようと、あらゆる所を探しました。また、悪行が愚かで、愚かさがどれほどばかげたことであるか悟ろうとしました。
26 悪い女は死よりも大きな苦痛を与えます。神に喜ばれる者は恵みによって彼女から逃れますが、罪を犯す者は彼女のしかけた罠にかかってしまいます。
27-28 そこで、「私の結論はこうだ」と伝道者は言います。私はあらゆる方面から調べてみて、次のことを確信するようになりました。私が話を聞いた男の千人に一人は、確かに知恵がある人物です。しかし女には、知恵のある者は一人もいませんでした。 29 さらに、次のことも知りました。神は人を正しい者に造ったのに、人々は堕落の道に向かって行ったということです。
8 知恵を身につけて、物事を正しく判断し、
さらに分析し説明できる能力があったなら、
どんなにすばらしいことか。
知恵は人の顔を輝かし、その顔を和らげる。
王に従いなさい
2-3 誓ったとおりに王に従いなさい。どんないやなことであっても、誓いを果たすことから逃げようとしてはなりません。王は不従順な者に罰を加えるからです。 4 王のことばには権威があるので、それに逆らったり疑問を差しはさんだりできる者はいません。
5 従順な者は罰せられることがない。
知恵ある者は、
自分のことばを実行する時と方法とを知っている。
6-7 そうです。困難が重くのしかかっていても、すべてのことに時と方法があります。人は予期できないことが身に降りかかるのを、避けることはできません。
8 だれも、たましいが体から離れるのをとどめることはできません。自分の死ぬ日をかってに決めることもできません。この暗黒の戦いを免れることは絶対にできないのです。その場に臨んだら、どんなにじたばたしても始まりません。
9-10 私は、人々が支配したりされたりして互いに傷つけ合っていることを考えてみました。悪者でも葬式をすませ、墓地から帰って来るときには、友人たちは故人のした悪事をすっかり忘れています。それどころか、その男は生前に多くの犯罪を重ねた当の町で、ほめそやされるのです。なんとおかしな話でしょう。 11 神はすぐに罪人を罰しないので、人々は悪いことをしても別に怖くないと思っているのです。 12 百度も罪を犯して、なお生き長らえている人があるとしても、神を敬っている人のほうが幸せです。 13 悪者どもは幸福な長い人生を送ることもできません。彼らは神を敬わないので、その一生は影のように早く過ぎ去ります。
14 この地上では、奇妙なことが起こっています。正しい人が悪人のような待遇を受け、逆に、悪人が正しい人のような待遇を受けているのです。これもまた、割り切れない思いにさせられます。 15 そこで私は、おもしろおかしく一生を送ろうと決心しました。この世では、食べて、飲んで、愉快にやること以外に良いことはないと考えたのです。この幸福は、神が世界中の人に与えているつらい仕事に添えられてくるものです。
16-17 私は知恵を尋ね求めている間に、地上での、休むことのない人の活動を観察してみましたが、すべてのことを見抜くのは神だけでした。自分は何でも知っているとうそぶく、知恵のかたまりのような人でも、実はわずかのことさえ知らないのです。
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