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Japanese Living Bible (JLB)
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ルカの福音書 19-20

ザアカイの救い

19 1-2 それからイエスはエリコに入り、町をお通りになりました。この町には、ローマに収める税金を取り立てる仕事をしているザアカイという男がいました。取税人の中でもとりわけ権力をふるっていた大金持ちでした。 このザアカイも、ひと目イエスを見ようと思いましたが、背が低かったので、いくら背伸びをしても、人垣のうしろからは何も見えません。 そこで、ずっと先のほうに走って行き、道ばたにあったいちじく桑の木によじ登って、見下ろしていました。 やがて、そこへ差しかかったイエスは足を止め、ザアカイを見上げると、「ザアカイ。早く降りてきなさい。今晩はあなたの家に泊めてもらうつもりでいますから」と言われました。 ザアカイはびっくりして、急いで降りると、大喜びでイエスを家に迎えました。 これを見ていた人々の心中は、おだやかではありません。「なにも、あの札つきの悪党の家の客にならなくても……」と言って、つぶやきました。 しかし、ザアカイは主の前でこう告白しました。「先生。今からは、財産の半分を貧しい人たちに分けてあげます。税金を取り過ぎた人たちには、四倍にして払い戻します。」 9-10 イエスは言われました。「その告白こそ、今日この家に救いが来たことのあかしです。この人も迷い出たアブラハムの子どもの一人なのだから。メシヤ(救い主)のわたしは、このような人を捜し出して救うために来たのです。」

11 イエスがいよいよエルサレムに近づくのを見て、今すぐにでも神の国が実現するのではないか、と早合点した人々がいました。その誤解を正そうと、イエスは一つのたとえ話をなさいました。 12 「ある所に身分の高い人が住んでいました。やがてその地方の王に任命されるため、遠くの都に出かけることになりました。 13 そこで、出発前に十人の家来を呼び寄せ、留守中に事業を始めるように、めいめいに一ミナ(一ミナは当時の約百日分の賃金に当たる)ずつ渡しました。 14 ところがそこの住民の中には、その人が王になるのを快く思わない人々があり、反対の声を送りつけました。 15 さて、その人は王位を受けて帰ると、さっそく資金を預けた家来たちを呼び集め、報告をさせました。 16 最初の家来は、元金の十倍というすばらしい利益をあげたことを報告しました。 17 王は非常に喜び、『よくやった! 感心なやつだ。少しばかりのものにも忠実に励んでくれた。ほうびに、十の町を治めさせよう』と言いました。 18 次の家来が進み出て、元金の五倍の利益をあげたことを報告しました。 19 『よくやった! おまえには五つの町を治めてもらおう。』王は上きげんで言いました。 20 ところが、三番目の家来は、預かった資金をそっくりそのまま差し出すではありませんか。『私はお金を大切に保管しておきました。 21 せっかくもうけても、横取りされてしまうのではつまりません。あなたはほんとうにひどい方で、ご自分のものでないものまで取り立て、他人の作った穀物さえ取り上げる方ですから。』 22 王は激しく怒って言いました。『なんて悪いやつだ! わしが、そんなにひどい人間だと言うのか。それほどよくわかっていたのなら、 23 なぜ銀行に預けておかなかったのか。そうすれば、利息ぐらいついたのに。』 24 王は側近の者たちに、『さあ、彼から金を取り上げ、一番多くもうけた者に与えなさい』と命じました。 25 『ですが王様。あの者はもうすでに、たくさん持っていますが。』 26 王は言いました。『そのとおり。しかし、持っている者はさらに多く与えられ、持っていない者は、そのわずかな物さえ失ってしまうのだ。 27 それから、謀反を起こした者たちはすぐここに連れて来て、わしの目の前で殺してしまえ。』」

エルサレムを目前にして

28 話を終えると、イエスは先頭に立ち、エルサレムに向かわれました。

29 一行がオリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤの村に近づいた時、イエスは、先に二人の弟子を使いに出して、こう指示されました。 30 「さあ、あの村へ行って、道ばたにつないであるろばの子を捜しなさい。まだだれも乗ったことのないろばの子です。見つけたら、綱をほどいて連れて来るのです。 31 もしだれかにとがめられたら、『主がお入用なのです』とだけ答えなさい。」 32 二人は、言われたとおりろばの子を見つけました。 33 綱をほどいていると、持ち主が来て、「何をしているのだ。おれたちのろばの子をどうしようというのだ」と聞きただしました。 34 弟子たちは、「主がお入用なのです」と答え、 35 ろばの子を連れて来ました。そして、その背中に自分たちの上着を敷き、イエスをお乗せしました。 36-37 イエスがろばの子に乗って進んで行かれると、大ぜいの人が次々と上着を脱ぎ、道に敷いて並べました。この一団がオリーブ山のふもとに差しかかった時、群衆の中から大きな声が上がりました。イエスが行われたすばらしい奇跡のことで、神を賛美し始めたのです。

38 「神がお立てくださったわれらの王に
祝福があるように。
天よ、喜べ。
いと高き天で、神に栄光があるように。」

39 群衆の中にいたパリサイ人たちは、これが気に入りません。「先生。あんなことを言ってます。しかってください。」 40 ところが、イエスはお答えになりました。「その人たちが黙っても、道ばたの石が叫びだします。」

41 さらにエルサレムに近づいた時、イエスは都をごらんになり、都のために涙をこぼされました。 42 「永遠の平和がすぐ手の届くところにあったのに、この町はそれをはねつけてしまいました。もう遅すぎます。 43 敵が城壁に土塁を築き、町を包囲し、攻め寄せ、 44 子どもたちもろとも地面にたたきつけるでしょう。一つの石もほかの石の上に残らないほど、完全に破壊されます。この町は神の訪れの時を知らなかったからです。」

神殿での出来事

45 このあと、イエスは宮(神殿)に入り、境内で商売していた者たちを追い出しにかかりました。そして、強い調子で言われました。 46 「聖書に、『わたしの家(神殿)は祈りの家と呼ばれる』イザヤ56・7と、はっきり書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたは強盗の巣にしてしまったのです。」

47 その日からイエスは、毎日、宮で教え始められました。一方、祭司長や他の宗教的指導者、それに町の実力者たちは、イエスを殺すうまい方法はないかと、機会をねらっていましたが、 48 手出しができませんでした。民衆がみな、イエスを英雄視し、イエスの話に熱心に耳を傾けていたからです。

20 ある日、イエスが宮の中で人々を教え、福音を宣べ伝えておられると、祭司長や他の宗教的指導者たちが、イエスと対決しようとやって来ました。 彼らは、何の権威で商人たちを宮から追い出したのか、とイエスに詰め寄りました。 イエスはお答えになりました。「答える前に、まず、わたしから質問します。 バプテスマのヨハネは神に遣わされて来たのですか。それとも、ただ自分の考えを主張しただけですか。」 彼らは集まって、ひそひそ相談しました。「ヨハネの語ったことが神からの教えだと答えたら、なぜ信じなかったのかと言われるだろう。 かといって、神からでないと答えるわけにもいくまい。そんなことをしたら、今度は群衆が襲いかかって来るだろう。みな、ヨハネを預言者だと信じ込んでいるから。」 そこで彼らは、「わかりません」と答えました。 イエスは、「そうですか。では、わたしも答えません」とおっしゃいました。

それから、イエスはまた人々のほうを向き、次のようなたとえを話されました。「ある人がぶどう園を造り、それを数人の農夫に貸して外国へ行き、長いことそこに住んでいました。 10 やがて、収穫の季節になりました。主人は代理の者をやり、自分の分を受け取ろうとしました。ところが、農夫たちはどうしたでしょう。代理人を袋だたきにし、手ぶらで追い返したのです。 11 また別の代理人を送りましたが、彼もまた袋だたきにされ、さんざん侮辱されたあげく、手ぶらで追い返されました。 12 三人目の代理人も同じで、傷を負わされ、やっとの思いで逃げ帰りました。 13 考えあぐねた主人は、一人つぶやきました。『いったい、どうしたものか。そうだ、かわいい息子をやろう。息子なら、きっと農夫たちも一目おくに違いない。』 14 ところが、当の農夫たちは、主人の息子が来るのを見て、『おい、絶好のチャンスだぞ。あれは跡取り息子だ。さあ、あいつを殺そう。そうすれば、ぶどう園はおれたちのものだ』とささやき合いました。 15 そのことばどおり、農夫たちは息子をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。さて、主人はどうするでしょう。 16 今度は自分で乗り込み、悪い農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すに決まっています。」この話を聞いていた人たちは、「そんな恐ろしいことがあるなんて、とても考えられません」と答えました。 17 しかしイエスは、人々の顔を見回しながら、おっしゃいました。「では、聖書に、

『建築士たちの捨てた石が、
最も重要な土台石となった』詩篇118・22
と書いてあるのは、どういう意味ですか。」 18 さらにことばを続け、「この石につまずく者はみな、打ち砕かれます。反対に、この石が落ちてくれば、だれもかれも粉みじんになります」と言われました。

19 祭司長や宗教的指導者たちは、この話を聞いて、その悪い農夫が自分たちを指していることに気づき、すぐにもイエスを捕らえたいと思いました。しかし群衆の暴動がこわくて、どうにもできません。 20 そこで、ローマ総督に逮捕の理由として報告できるようなことを、何とかしてイエスに言わせようとしました。こうして機会をねらっていた彼らは、良い人物を装った回し者をイエスのもとに送り、 21 こう質問させました。「先生。私どもは、あなたがどんなに正しい教師かよく承知しております。あなたはいつも真理を語り、分け隔てなく、神の道を教えておられます。 22 それで、ぜひお教えいただきたいのですが、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。それとも正しくないことでしょうか。」 23 彼らの計略は見えすいていました。イエスは言われました。 24 「銀貨を見せなさい。ここに刻まれているのは、だれの肖像、だれの名前ですか。」「カイザル(ローマ皇帝)のです。」 25 「それなら、皇帝のものは、皇帝に返せばいいでしょう。しかし、神のものはみな、神に返さなければなりません。」 26 公衆の面前でイエスのことばじりをとらえようとするたくらみは、みごと失敗に終わりました。彼らはイエスの答えに恐れ入り、返すことばもありませんでした。

27 次にやって来たのは、人は死んでしまえばそれまでで、復活などありえないと主張していたサドカイ人(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)たちでした。 28 「モーセの律法には、もしある人が子どものないまま死んだら、その弟は残された未亡人と結婚しなければならず、二人の間にできた子どもは、法律的には死んだ者の子として家を継ぐ、と書いてあります。 29 ところで、七人兄弟がいたとします。長男は結婚しましたが、子どもがないまま死んだので、 30 次男がその未亡人と結婚しました。ところが、彼も子どもができずに死にました。 31 こうして、兄弟が次々にこの未亡人と結婚したのですが、七人とも子どもがないまま死にました。 32 最後に、未亡人も死にました。 33 そこでお尋ねしたいのですが、この女は復活の時、いったいだれの妻になるのでしょう。兄弟みなが彼女と結婚したのですが。」 34-35 イエスは言われました。「結婚とは、この地上に住む人たちのものです。死から復活したのちに、天国へ行く資格があると認められた人たちは、結婚などしません。 36 二度と死ぬこともありません。この点では、天使と変わりなく、また、死人の中から新しいいのちへと復活したのですから、神の子どもなのです。 37-38 しかし、あなたがたがほんとうに聞きたいのは、復活があるかないかということでしょう。モーセ自身は何と書き残していますか。燃えさかる柴の中に現れた神とお会いした時、モーセは神を、『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』出エジプト3・6と呼びました。主を彼らの神と呼んでいる以上、彼らは生きているはずです。神は死んだ者の神ではありません。神に対して、みなが生きているのです。」 39 その場にいた律法の専門家たちは、「先生。非の打ちどころのないお答えです」と言い、 40 それ以上、尋ねようとはしませんでした。

41 すると今度は、イエスが質問なさいました。「あなたがたはどうして、キリストをダビデの子だと言うのですか。 42-43 ダビデ自身が、聖書の詩篇の中でこう歌っています。

『神が私の主に言われた。
「わたしがあなたの敵を
あなたの足の下に置くまで、
わたしの右に座っていなさい。」』詩篇110・1

44 キリストはダビデの子であると同時に、ダビデの主なのです。」

45 人々がイエスのことばに耳を傾けていると、イエスは弟子たちに言われました。 46 「ユダヤ教の学者たちを警戒しなさい。彼らはぜいたくな着物を着て歩き回り、通りで人々からていねいなあいさつを受けるのが何より好きです。また会堂や宴会で、上座に着くのも大好きです。 47 うわべは、さも信心深そうに、長々と祈りますが、実際は、未亡人をだまして財産をかすめ奪おうとしています。こういう人々には、神から最もきびしい罰が下るのです。」

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