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滅ぼすべき国々

まもなく約束の地に入りますが、主が共におられるので心配はありません。あなたがたよりずっと強大な国も、主の相手ではありません。ヘテ人の国をはじめ、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の国々は、七つとも滅ぼされます。 主がそうなさるのだから、徹底的に戦いなさい。こざかしい取り引きをしたり、あわれみをかけたりせず、敵を一掃するのです。 ましてや、彼らとの結婚などもってのほかです。息子や娘たちとも結婚させてはいけません。 外国人と結婚させたら、外国の神々を拝むようになるかもしれないからです。そうなれば取り返しがつきません。主の怒りを買って、あなたがたまで滅ぼされてしまいます。 異教の祭壇や石の神殿や柱は取り壊し、神々の偶像も切り倒して焼き払いなさい。 あなたがたは、主にささげられた聖なる国民だからです。地上のあらゆる国々の民の中から選ばれ、主のものとされたのです。

主がこんなに目をかけられたのはなぜでしょう。あなたがたが、ほかのどの国よりも大きな民だったからでしょうか。そうではありません。それどころか、世界中で最も小さな民です。 にもかかわらず、主はあなたがたを愛し、先祖への約束を果たされるのです。ただそのためにこそ、驚くべきみわざを行い、エジプトの奴隷だったあなたがたを助け出してくださったのです。

このように主は誠実なお方なので、約束されたことは千代のちまでも守り、主を愛し、命令を守る者に最善のことをしてくださいます。 10 しかし、主を憎む者にはそうではありません。みなの見ている前で一人一人罰せられ、打ち滅ぼされます。 11 だから、今日命じることをみな守りなさい。

12 素直に従えば主も、私たちの先祖と結んだ恵みあふれる契約を守ってくださいます。 13 あなたがたを愛し祝福して、大きな民にしてくださるのです。約束の地で、あなたがたは裕福になります。家畜はどんどん増え、土地も肥えているので、小麦、ぶどう、オリーブが豊かに実ります。 14 世界中のどの国よりも祝福されることは確かです。一人として子どもに恵まれない者はなく、家畜も次々と子を産みます。 15 すべての病気はなくなり、エジプトでよく悩まされた疫病もなくなります。反対に、敵が疫病に苦しめられることでしょう。

16 念を押しますが、主が滅ぼせと言われた国は、みな滅ぼし尽くさなければなりません。決してあわれみをかけてはいけません。その国の神々を拝んではいけません。それは悲惨な結果を招くだけです。 17 『自分たちより強い国を征服できるだろうか』と心配になるかもしれません。 18 しかし、恐れることはありません。そんな時は、主がエジプトの王と国になさったことを思い出しなさい。 19 あの、エジプト中を巻き込んだ恐怖、すばらしい奇跡、とても考えられないような不思議な出来事を忘れてはいないでしょう。あれだけのことをしてあなたがたをエジプトから助け出された方に、できないことは何もありません。あなたがたの親は自分の目でそれを見ました。だとしたら、今あなたがたが恐れている国に対しても、主は同じようになさいます。 20 そればかりか、あなたがたの目を逃れた者へもくまばち(神への恐れ)を送り、追い払われるのです。

21 偉大な、恐るべき力を持った主が共におられるので、恐れることはありません。 22 主は敵を一度に全部ではなく、少しずつ、徐々に追い払われます。さもないと、急に野の獣が増えて危険だからです。 23 あせらず、しかも着実に攻め取りなさい。 24 主がその国の王を負かしてくださるのです。彼の名が二度と思い出されないように完全に滅ぼしなさい。だれ一人、あなたがたに刃向かえる者はありません。

25 偶像を焼き払いなさい。それにかぶせてある金や銀に心を奪われてはいけません。あなたの神、主は偶像をとても憎まれるので、そんなものを分捕ったら、自分が罠にかかるだけです。 26 さらに、偶像を家に持ち込んだりすれば、そんなことをしたが最後、死をもって罰せられます。のろわれた偶像は心底から憎みなさい。

荒野の試練の意味

私が今日命じることをみな守りなさい。そうすれば生き長らえ、人口が増え、約束の地を占領することができます。 主は四十年の間、荒野の旅を続けさせて、あなたがたが謙遜になり、ご自分の戒めにどのように応えるようになるか、はたして心から従うようになるかどうかを試されたのです。 ひもじい思いをさせたのも、謙遜を学ばせるためでした。なぜならそのあとで、マナという見たこともない食べ物を下さり、人はただパンだけで生きるのではなく、神の命令を守ることによって真に生きるのだということを教えてくださったからです。 思えばこの四十年間、衣服も古びず、足も腫れませんでした。 主があなたがたを懲らしめるのは、ちょうど親が子どものためを思って懲らしめるのと同じなのです。

あなたの神、主の律法を守りなさい。主を恐れ、命じられるとおりに歩みなさい。 主が小川や池や泉、谷や丘のあるすばらしい地へ導いてくださいます。 そこは、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブ、はちみつが山ほど採れ、 不自由なく暮らせます。その地の石は鉄を多く含み、丘の至る所からは銅が採れます。 10 そこで恵まれた生活ができるようになったら、すばらしい地を下さった神である主に感謝しなさい。

11 しかし油断は禁物です。何の心配もないからといって気がゆるみ、あなたの神、主を忘れ、主に背くようになってはいけません。 12-14 家を持ち、羊や牛も増え、財産ができ、満ち足りるようになったときこそ危ないのです。気をつけないと、主のおかげでそうなったのに、思い上がり、エジプトでの奴隷生活から救い出されたことなど忘れてしまうのです。 15 蛇やさそりがいるあの広大な恐ろしい荒野、暑く渇ききった荒野を無事に旅できたのは、主のおかげなのです。その神様を忘れていいでしょうか。岩から水を出し、 16 〔パンに似ているけれど〕それまで見たこともない食物、マナを下さったのも主です。こうして、あなたがたに謙遜を学ばせ、信仰を強め、ほんとうの幸せを与えようとなさったのです。 17 そんなやり方をなさったのにはわけがあります。そこまでしなければ、あなたがたは自分の力で豊かになったと思い込むでしょう。 18 しかし、豊かにしてくださるのは主です。先祖との約束を果たすためになさったのだということを、いつも自分に言い聞かせなさい。

19 万が一、あなたの神、主を忘れ、ほかの神々を拝み、悪の道に迷い込んだりすれば、あなたがたは必ず滅ぼされます。 20 主にのろわれ、滅びの道をたどった国々と同じ運命をたどることになるのです。主に従わなければ、あなたがたといえども容赦はされません。

主に逆らい続けてきた民

1-2 さあ、よく聞きなさい。今日、あなたがたはヨルダン川を渡り、川向こうの国々を征服します。どの国も、あなたがたより強い国々です。町々は高い城壁で守りを固め、おまけに、無敵の巨人と恐れられるアナク人もいます。 しかし主がおられる以上、心配はいりません。あなたがたの先頭に立ち、火のような勢いで敵を滅ぼしてくださるでしょう。だから、すぐさま国々に攻め入って占領しなさい。

しかし、思い違いをしないように。主があなたがたを助けるのは、あなたがたが正しいからではなく、ほかの国々が悪いからです。 決して、あなたがたがりっぱなので、ほかの国々を滅ぼすのではありません。先祖アブラハム、イサク、ヤコブに、そうすると約束されたのです。 くり返しますが、主があの良い地を下さるのは、あなたがたが正しいからではありません。それどころか、あなたがたは強情な民です。

あなたがたは、エジプトを出てから今まで、主を怒らせ通しだったではありませんか。どんなに主に逆らい続けてきたか忘れてはなりません。

ホレブ山(シナイ山)ではどうでしたか。あまりに主を怒らせたので、すんでのところで殺されそうになりました。 あの時、私は、主があなたがたと結ばれる契約の板を受け取りに山へ登って、飲まず食わずで四十日間も待っていました。 10-11 そして、ようやく授かったのです。そこには、人々が見守る中で、主が真っ赤に燃え立つ山の炎の中からお語りになったことばが記してありました。 12 その板を下さるとすぐ、主は私に急いで山を下りるようにせかせました。エジプトから連れ出した民が早くも堕落し、戒めを破って鋳物の偶像を造ったのです。 13-14 あまりのことに主の怒りが爆発しました。『なんということだ。こんなに強情で心の曲がった民は生かしておけない。一人残らず滅ぼそう。止めてもむだだ。代わって、あなたの子孫を強い民に育てよう。彼らよりもっと強く偉大な民になるように。』

15 私は石板をしっかりかかえ、燃える山を一目散に駆け下りました。 16 その私の目に真っ先に映ったのは、忌まわしい子牛の像でした。よりによって、これほどひどい罪を犯し、こんなにも早く主を捨てるとは何事かと、  17 私は怒りのあまり石板を地面にたたきつけました。石板はあなたがたの目の前で、木端微塵に砕け散りました。 18 それで、私はもう一度、飲まず食わずで四十日間、主の前にひれ伏しました。あなたがたが主の最も憎まれることをして、怒りを買ってしまったためです。 19 私はその間中、あなたがたのことで頭がいっぱいでした。何しろ、主はすぐにでもあなたがたを滅ぼしかねないようすだったのです。しかしその時もまた、主は私の祈りを聞いてくださいました。 20 一番危なかったのはアロンです。彼のしたことを非常に怒っておられたので、一心に赦しを乞いました。こうして、アロンのいのちは助かったのです。 21 最後に私は、あの忌まわしい子牛の像を始末しました。それを取って火で焼き、粉々に打ち砕き、山を下る川に投げ捨てました。

22 数え上げればきりがありませんが、タブエラでも、マサでも、キブロテ・ハタアワでも、あなたがたは主を怒らせました。 23 カデシュ・バルネアでは、約束の地へ入れと命じられたにもかかわらず、怖がるばかりで少しも言うことを聞きませんでした。主が助けてくださると励ましましたが、あなたがたは、主に逆らったのです。 24 全く、あなたがたを知ってからというもの、主に逆らわなかった時はないと言っていいくらいです。

25 あまりのひどさに、主はあなたがたを滅ぼそうとなさいました。それで、私は四十日の間、昼も夜も主の前にひれ伏して祈りました。 26 『どうか神、主よ、特別に目をかけてくださった民を滅ぼさないでください。この民は、あなたが驚くべき御力によってエジプトから救い出された、大切な宝ではありませんか。 27 今度のことは、どうかお見逃しください。あなたに忠実にお従いした先祖のアブラハム、イサク、ヤコブへの約束に免じて、彼らの強情な心をお赦しください。 28 それに、もし彼らを滅ぼしたりすれば、エジプト人たちは言うでしょう。「そうら、何てざまだ。イスラエルの神はどうにも約束の地へ連れて行けなくなって、荒野で彼らを殺してしまった。それとも彼らを嫌いだったから、初めから殺すつもりで連れ出したのかもしれない」と。 29 お忘れにならないでください。彼らはあなたの大切な宝、あなたのすばらしい御力によって助け出された民なのです。』

イエスの裁判、十字架の死、埋葬

15 朝早く、祭司長と長老、それにユダヤ教の教師たちからなる最高議会の全議員が、次の手はずをあれこれ協議した結果、イエスを縛ったまま、ローマ総督ピラトに引き渡すことに決まりました。

「おまえはユダヤ人の王なのか」というピラトの尋問に、イエスは、「そのとおりです」とだけお答えになりました。 そこで祭司長たちは、あることないことをあげつらい、イエスを訴えました。 これを聞いたピラトは、「どうして何も言わないのか。あんなにまで訴えているのに平気なのか」と尋ねました。 しかしイエスは、ひとこともお答えになりません。これにはピラトも驚き、あきれてしまいました。

さてピラトは、毎年、過越の祭りには、人々の願うままにユダヤ人の囚人を一人、釈放してやることにしていました。 たまたまこの時、暴動で人殺しをし、投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいました。 群衆はピラトの前に押し寄せ、例年どおり囚人を釈放するよう迫りました。 そこで、ピラトは尋ねました。「『ユダヤ人の王』を釈放してほしいのか。おまえたちが赦してほしいのはこの男か。」 10 ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、彼の人気をねたむ祭司長たちのでっち上げによるとにらんだからです。

11 ところが、祭司長たちも抜かりはありません。たくみに群衆をけしかけ、イエスではなくバラバの釈放を要求させたのです。

12 「バラバは釈放するとして、おまえたちが王と呼んでいるあの男はいったいどうするつもりか。」

13 「十字架につけろ!」

14 「なぜだ。あの男が、いったいどんな悪事を働いたというのだ。」それでも群衆はおさまりません。なおも大声で、「十字架につけろ!」と叫び続けます。 15 ピラトは群衆のきげんをそこねたくなかったので、結局、バラバを釈放することにしました。イエスのほうは、先端に鉛のついたむちで打たせてから、十字架につけるために引き渡しました。

16 ローマ兵たちはイエスを総督官邸内の兵営に引き立てて行き、全部隊を召集しました。 17 その目の前で、イエスに紫色のガウンを着せ、長く鋭いとげのあるいばらで冠を作り、頭にかぶせると、 18 「おい、ユダヤ人の王よ」とはやしたて、皮肉たっぷりに敬礼しました。 19 それから、頭を葦の棒でたたいたり、つばをかけたり、ひれ伏して拝むまねをしたりして、からかいました。 20 こうしてさんざん笑いものにしたあげく、紫色のガウンをはぎとってもとの着物を着せ、いよいよ十字架につけるために引き出しました。 21 途中、ちょうど田舎から来合わせていたクレネ人のシモンという男に、むりやりイエスの十字架を背負わせました〔シモンは、アレキサンデルとルポスの父〕。

22 兵士たちは、イエスをゴルゴタ〔どくろ〕と呼ばれる場所に連れて行きました。 23 そこで、没薬を混ぜたぶどう酒(痛みを和らげる飲み物)を飲ませようとしましたが、イエスはお断りになりました。 24 兵士たちは、イエスを十字架につけてしまうと、さっそくくじを引き、その着物を分け合いました。 25 イエスが十字架につけられたのは、朝の九時ごろでした。

26 イエスの頭上には罪状書きが掲げられ、それには「ユダヤ人の王」と書いてありました。

27 その日、二人の強盗も、イエスといっしょに十字架につけられました。二人の十字架はイエスの両側に立てられました。 28 こうして、「彼は罪人の一人に数えられた」イザヤ53・12という聖書のことばどおりになったのです。

29-30 刑場のそばを通りかかった人たちは、大げさな身ぶりで、「神殿を打ちこわして三日で建て直すんだってなあ。そんなに偉いなら、たった今、十字架から降りて来いよ。自分を救ったらどうなんだ!」と、口ぎたなくイエスをののしりました。 31 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、同じようにあざけりました。「人を救っても、自分は救えないというわけか。」 32 「キリスト様。イスラエルの王様。十字架から降りてみろ。そうしたら信じてやろうじゃないか。」イエスの両側で十字架につけられていた強盗までが、悪口をあびせました。

33 さて正午になったころ、あたりが急に暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。 34 三時ごろイエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。 35 近くでその声を聞いた人の中には、預言者エリヤを呼んでいるのだと思った者もいました。 36 その時、一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。そして、「さあ、エリヤがこの男を降ろしに来るかどうか、とくと見ようじゃないか」と言いました。 37 イエスはもう一度大声で叫ぶと、息を引き取られました。

38 するとどうでしょう。神殿の幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。 39 十字架のそばに立っていたローマ軍の士官は、イエスの死の有様を見て、「この方はほんとうに神の子だった」と言いました。

40 数人の婦人が、遠くから恐る恐るこの様子をながめていました。それは、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、サロメをはじめ、何人かの婦人たちで、 41 イエスがガリラヤにおられた時、いつも仕えていた人たちでした。ほかにもたくさんの婦人が、イエスといっしょにエルサレムまで来ていました。

42-43 以上の出来事はすべて、安息日の前日に起こったことです。その日の夕方、一人の人がピラトのところへ行き、勇気を奮い起こして、イエスの遺体を引き取りたいと申し出ました。その人はアリマタヤ出身のヨセフといい、ユダヤの最高議会の有力な議員で、神の国が来ることを熱心に待ち望んでいました。

44 ピラトは、イエスがもう死んでしまったとは信じられず、ローマ軍の士官を呼びつけ、問いただしました。 45 士官が死を確認したので、それならよいと遺体の引き取りを許可しました。

46 ヨセフは亜麻布を買って来ると、イエスの遺体を十字架から取り降ろし、布でくるんで、岩をくり抜いた墓の中に納め、入口は石を転がしてふさぎました。 47 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが葬られるのをじっと見守っていました。