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王位をめぐる争い

晩年のダビデ王は寝たきりになりました。毛布を何枚かけても体が暖まらないのです。 そこで、側近の者が提案しました。「若い娘を、お世話役のそばめとしてはいかがでしょう。添い寝させて、お体を暖めさせるのです。」

3-4 さっそく、国中くまなく探して、いちばん美しい娘を見つけ出すことになりました。最後にシュネム出身のアビシャグが選ばれ、王のもとへ連れて来られました。王を暖めるため、その腕に抱かれて寝ることになったのです。しかし、王は彼女をそばめにはしませんでした。

そのころ、ハギテの子であるアドニヤは、自分こそ老いた父に代わって王位につくべきだと考えて、戦車を買い集め、騎兵を雇い、自分の前を走る五十人の近衛兵をそろえました。 父のダビデ王は、それまで一度も彼をたしなめたことがありませんでした。彼はアブシャロムのすぐ下の弟で、とてもハンサムでした。 アドニヤが将軍ヨアブと祭司エブヤタルに思惑を打ち明けると、二人とも賛成しました。 しかし、祭司ツァドク、ベナヤ、預言者ナタン、シムイ、レイ、ダビデ軍の勇士たちは、あくまでも王に忠誠を尽くし、アドニヤにくみすることはありませんでした。

アドニヤはエン・ロゲルへ行き、ゾヘレテの石のそばで、羊、牛、太った子やぎをいけにえとしてささげ、それから、即位式の立会人として、自分の兄弟とユダの政府高官を全員招きました。 10 しかし、預言者ナタン、ベナヤ、王の勇士たち、それに、兄弟のうち弟ソロモンだけは招きませんでした。

11 預言者ナタンはソロモンの母バテ・シェバに会い、こう勧めました。「ハギテの子アドニヤが王になり、しかも、王様が少しもお気づきでないことをご存じですか。 12 ご自身と、ご子息ソロモン様の無事を願われるなら、これから申し上げるとおりになさってください。 13 すぐに王様のところへ行って、『あなたは私に、ソロモンが次の王になると、お約束になったではありませんか。それなのに、なぜ、アドニヤが王になっているのでしょう』と申し上げるのです。 14 お話の最中に私もまいり、あなたの訴えが事実であることを王に申しましょう。」

15 バテ・シェバは、言われたとおり王の寝室へ行きました。王は非常に年老いていて、アビシャグが身の回りの世話をしていました。 16 バテ・シェバがていねいにおじぎをすると、王は、「何の用か」と尋ねました。

17 「王様に申し上げます。あなたは、主に誓って、わが子ソロモンが次の王になるとおっしゃいました。 18 それなのに、アドニヤが新しい王になっています。しかも、あなたはそれをご存じありません。 19 アドニヤは即位を祝って、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様全部と祭司エブヤタル様、それにヨアブ将軍を招きました。けれども、ソロモンだけは招かれませんでした。 20 今、イスラエル中の者が、アドニヤが後継者として選ばれるかどうか、あなたの決定を待っております。 21 王様がはっきり決着をつけてくださらないと、ソロモンも私も、あなたがお亡くなりになったとたん、謀反人として捕らえられ、処刑されることになるでしょう。」

22-23 彼女が話しているうちに、側近の者が来て、「預言者ナタン様がお目どおりを願い出ています」と伝えました。ナタンは王の前に出ると、うやうやしく一礼し、 24 話を切り出しました。「王様。あなたはアドニヤ様を後継者にお選びになったのでしょうか。 25 実は今日、あの方は即位の祝いとして、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様方を祝賀会に招かれました。ヨアブ将軍と祭司エブヤタル様も招かれました。一同はあの方の前で飲み食いし、『アドニヤ王、ばんざい!』と叫んだということです。 26 しかし、祭司ツァドク様、ベナヤ様、ソロモン王子、それに私は招かれませんでした。 27 これは、あなたがご承知の上でなされたことでしょうか。あなたはまだ、お子様のうちどなたを次の王にするか仰せではございませんが。」

28 王は、「バテ・シェバをここに呼びなさい」と言いました。席をはずしていた彼女は戻って来て、王の前に立ちました。 29 王は誓って言いました。「私をあらゆる危険から助け出してくださった主は生きておられる。 30 いつかイスラエルの神、主の前でおまえに誓ったとおり、今日、おまえの子ソロモンを王とし、私の王座につかせる。」

31 バテ・シェバはもう一度うやうやしくおじぎをすると、感きわまって言いました。「ありがとうございます、わが君。どうか、いつまでもおすこやかに。」

32 「祭司ツァドクと預言者ナタン、それにベナヤをここに呼びなさい。」王は続けて言いました。三人が前に出ると、 33 王はこう命じました。「ソロモンと私の家来とをギホンへ連れて行きなさい。ソロモンは私の雌らばに乗せて。 34 祭司ツァドクと預言者ナタンは、そこでソロモンに油を注ぎ、イスラエルの王とするのだ。それからラッパを吹き鳴らし、『ソロモン王、ばんざい!』と叫びなさい。 35 ソロモンが戻りしだい、新しい王として王座につけよう。私はソロモンを、イスラエルとユダの王に任じる。」

36 ベナヤが答えました。「アーメン! 神様をほめたたえます。 37 主があなたとともにおられたように、ソロモン様ともおられますように。ソロモン王を、あなた以上に偉大な王としてくださいますように!」

38 こうして、祭司ツァドク、預言者ナタン、ベナヤ、王の家臣たちは、ソロモンを王の雌らばに乗せてギホンに向かいました。 39 ギホンに着くと、ツァドクは天幕から神聖な油を取り出し、ソロモンの頭に注ぎました。ラッパが吹き鳴らされ、人々はみな、「ソロモン王、ばんざい!」と叫びました。 40 彼らはソロモンのあとに従ってエルサレムへ帰って来ましたが、その道中は喜び祝う歌声に満ちあふれました。

41 一方、アドニヤと招待客はちょうど食事を終えたところでした。何やら外が騒がしいので、ヨアブがいぶかしげに言いました。「いったい何事だ。何の騒ぎだ?」

42 そのことばが終わらないうちに、祭司エブヤタルの子ヨナタンが駆け込んで来たので、アドニヤは言いました。「入りなさい。おまえは勇敢な者だから、良い知らせを持って来たに違いない。」

43 ヨナタンは答えました。「わが君、ダビデ王は、ソロモン様が次の王だと発表しました!  44-45 しかも、ソロモン様をご自分の雌らばに乗せ、ギホンへ行かせたのです。祭司ツァドク、預言者ナタン、それにベナヤが同行し、王の護衛隊が警護に当たりました。ツァドクとナタンは、ソロモン様の頭に油を注いで、新しい王にしました。一行が戻って来たので、町中が喜びにわきかえっています。あの騒がしい物音をお聞きください。 46-47 ソロモン様はすでに王座におつきです。国民はこぞってダビデ王に、『どうか神様が、あなたを豊かに祝福してくださった以上に、ソロモン様を祝福してくださるように。ソロモン王を、あなた以上に栄えさせてくださるように』とお祝いを申し上げています。王は床についたまま、人々の祝福のことばを受けておいでです。 48 しかも、『私が生きているうちに、息子の一人を選んで、王座につけてくださったイスラエルの神、主を心からほめたたえる』と言っておられるとか。」

49-50 これを聞いて、アドニヤと招待客は飛び上がらんばかりに驚き、狼狽しました。この先、自分たちがどうなるかわかったものではありません。客たちは恐ろしくなって、逃げ帰りました。アドニヤは幕屋に駆け込み、祭壇の角にしがみつきました。 51 アドニヤが聖所に入って、命乞いをしていることが報告されると、 52 ソロモンは言いました。「もし彼が潔くふるまうなら、危害は加えまい。しかし、そうでなければいのちはない。」 53 ソロモン王はアドニヤを呼びにやり、祭壇から下ろさせました。彼が王の前に来て恐れかしこんで礼をすると、王は、「家へ帰るがよい」とあっさり言って去らせました。

神殿建設を励ますダビデ

28 ダビデ王は、政治的指導者、十二人の分団長、将軍、王の財産や家畜の管理人、その他の有力者たちをエルサレムに召集しました。 王は立ち上がって、彼らを前に演説しました。

「愛する同胞の人たち。主の契約の箱を安置する神殿を建てることは、私の長年の夢だった。神のお住まいを建てようと、前もって必要な資材を集めておいたほどだ。 だが、神はこう仰せられた。『あなたが神殿を建ててはならない。あなたは勇敢な戦士として、あまりにも多くの血を流してきたからだ。』 けれども主は、父の家系から私を選び、永久にイスラエルを治める王朝を起こしてくださった。ユダ族を選び、その中から父の家族をお選びになったのだ。そして、兄弟の中でも、特に私に目をかけ、全イスラエルを治める王としてくださった。 また、大ぜい授かった息子の中から、特にソロモンを選び、私の世継ぎとしてくださった。 主は、『あなたの子ソロモンが、わたしの神殿を建てる。わたしは彼をわたしの子として選び、彼の父となるからだ。 もし彼が、今までどおりわたしの命令と指示に従うなら、彼の王国をいつまでも栄えさせる。』そう仰せになったのだ。」

それから、王はソロモンに言いました。

「今、イスラエルの指導者と神の民の前で、神が見ておられるこのところで、あなたに、主の命令をことごとく守れと命じる。そうすれば、あなたはこの良い地を支配し、しかも、永久にあなたの子孫のものとすることができる。 わが子ソロモンよ、あなたの父の神を知り、きよい心と喜びをもって神を礼拝し、仕えなさい。神はすべての人の心をごらんになり、どんな思いも知り尽くしておられるからだ。あなたが神を求めさえすれば、お会いすることができる。だが、もし神から離れたりしたら、神のほうが、あなたを永久に退けてしまわれる。 10 だから、くれぐれも注意しなさい。聖なる神殿を建てるために選ばれたのだから、勇気をもって、神の命じられることを行いなさい。」

11 こう言うと王はソロモンに、神殿とその付帯施設である宝物倉、屋上の間、内部屋、いけにえの血を注ぐ場所のある聖所の見取り図を授けました。 12 また、外庭、脇部屋、神殿付属倉庫、要人からのささげ物を納める宝物倉の見取り図も渡しました。それらの見取り図は、王が御霊の助けを借りて描いたものです。 13 王はまた、祭司やレビ人の種々のグループの職務、神殿での礼拝やいけにえの儀式に用いる器具の明細もソロモンに渡しました。

14 ダビデは、これらの器具を作るのに必要な金銀の重さ、 15 燭台とともしび皿を作るのに必要な金の重さを量りました。また、各種の銀の燭台とともしび皿を作るのに必要な銀の重さも量りました。 16 さらに、供えのパンを置く机や、そのほかの金の机を作る金の重さ、銀の机を作る銀の重さも量りました。 17 いけにえの肉を刺す金の肉刺しを作るのに必要な金、また水盤や杯や鉢を作るのに必要な金銀の重さを量りました。 18 最後に、香の祭壇を作るための純金、契約の箱の上に翼を伸べたケルビムを作るための金の重さを量りました。

19 ダビデはソロモンに言いました。「この見取り図はみな、神様から直接頂いたものだ。 20 だから、勇気を出してこの仕事をやり遂げよ。仕事の大きさに恐れをなしてはならない。私の神様がついておられるからだ。神様は決しておまえをお見捨てにならない。それどころか、すべてがみごとに完成するよう、しっかり見届けてくださる。 21 出番を待っている祭司とレビ人のグループが、神殿で仕えるようになる。あらゆる方面の熟練工が進んで仕事に当たり、軍人と国民は、こぞっておまえの命令に従う。」

91 私たちは、
どんなものにもまさる神によってかくまわれ、
この全能のお方のふところに住んでいます。
私は宣言します。
「神こそ私の避難所、また安全地帯です。
この神への信頼を失うことはありません。」
主はどのような罠からもあなたを救い出し、
いのちを損なう病からも守ってくださいます。
主の翼の下に、あなたはかくまわれるのです。
また、主の変わることのない約束が、
あなたのよろいとなるのです。
ですから、もう暗闇を恐れることはありません。
真昼の襲撃にもおののくことはありません。
暗闇に乗じてはびこる疫病も、
明け方を襲う災害も恐れるに足りません。

たとえ千人がそばに倒れ、
一万人の死体があたりを埋め尽くそうと、
悪い者が私に触れることはありません。
私はただ、悪者が罰せられるのを
眺めていればよいのです。
私には、主という避難所があります。
私はこのお方を、
すべての神々にまさる神として選びました。
10 ですから、災難に見舞われたり、
病にかかったりするはずがありません。
11 神が御使いたちに言いつけて、
行く先々で守ってくださるからです。
12 山道でも、石につまずかないように、
手で支えてくださいます。
13 ライオンに出くわそうと、毒蛇を踏もうと、
恐れずに踏みにじることができるのです。

14 主はこう言っておられます。
「わたしを愛する者を、救い出そう。
わたしを信頼する者を偉大な人物にしよう。
15 その者が呼べば答えてやり、
苦しんでいる時にはそばにいる。
その者を救い出し、誉れを与えよう。
16 わたしは彼を救って、充実した人生を送らせよう。」

愛する皆さん。それらがいつ起こるかについては、私は何も答える必要がありません。 その時を言い当てることができる人などいないことは、よくご存じのはずです。主の日は、夜中にこっそり忍び込む盗人のように、思いがけない時に来ます。 人々が、「万事順調で、平穏無事だ」と言っているような時、突然、災いが襲いかかるようにやって来ます。それはちょうど、出産の時、母親に陣痛が襲うのと似ています。その災いから逃れることができる人はいません。身を隠す場所など、どこにもないからです。

しかし、皆さん。あなたがたはこのことについて、皆目わからない暗闇の中にいるわけではないのですから、主の日が来ても、強盗に襲われたようにあわてふためくことはありません。 あなたがたはみな、光の子ども、真昼の子どもであって、暗闇や夜に属する者ではないからです。 ですから、ほかの人たちのように眠りこけないで、目を覚ましていなさい。主が再び来られる日に備えて、節度をもって生活しなさい。 夜、人々は眠り、また酔いつぶれます。 しかし、私たちは、昼の世界に生きる者らしく、信仰と愛のよろいで身を守り、救いの望みというかぶとをかぶり、慎しみ深く過ごしましょう。 神は、怒りを向けるために私たちをお選びになったのではなく、主イエス・キリストによって救うために選んでくださったのです。 10 主イエス・キリストの死は、〔主が再び来られた時、私たちの生死の状態にかかわりなく〕私たちを永遠に主と共に生かすためでした。 11 そういうわけですから、すでに実行しているように、互いに励まし合い、助け合いなさい。

気をつけるべきこと

12 皆さん。あなたがたの間で一生懸命働き、何かまちがいがあれば親身になって忠告してくれる人たちを尊敬しなさい。 13 その人たちは、何とかしてあなたがたの手助けをしようとしているのですから、彼らを認め、心から愛しなさい。くれぐれも言っておきますが、争いなど起こさないようにしてください。

14 愛する皆さん。なまけ者や手に負えない乱暴者には、きびしく注意しなさい。臆病な人を励まし、弱い人を思いやりなさい。そして、だれに対しても忍耐の心を持ちなさい。

15 悪をもって悪に仕返ししないように、気をつけなさい。かえっていつも、お互いの間で、またどんな人にも、善意を示すよう心がけなさい。

16 いつも喜びにあふれていなさい。

17 いつも祈りに励みなさい。

18 どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに望んでおられることです。

19 聖霊の恵みを無にしてはいけません。 20 預言する者を軽蔑してはいけません。 21 すべてのことをよく調べ、それがほんとうに良いものであれば、受け入れなさい。 22 あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。

23 どうか、平和の神が、あなたがたを完全にきよめてくださいますように。あなたがたの霊とたましいと体とが、いつも健全で、主イエス・キリストが再び来られる時、少しも非難されない者としてくださいますように。 24 あなたがたを招いてご自分の子どもとしてくださった神は、約束どおり、それらのことをなしてくださいます。

25 愛する皆さん。私たちのために祈ってください。

26 全員に、心からのあいさつを送ります。 27 この手紙を、すべてのクリスチャンが読むようにしてください。これは主の命令です。

28 どうか、主イエス・キリストから、あふれるほどの祝福があなたがたに注がれますように。

パウロ