1-2 親愛なる、神を愛する友へ。

この前の書(ルカの福音書)では、イエスの生涯とその教えについて書き、イエスが、ご自分のお選びになった使徒たちに聖霊によって指示を与え、天に帰られたところまでお伝えしました。

十字架刑のあと、四十日にわたって、イエスは何度も使徒たちに姿を現されました。自分がまぎれもなく、生きているイエスそのものであることを、さまざまな方法で示されたのです。またそのつど、神の国のこともお話しになりました。

イエスの昇天

そんなある時のことです。イエスは使徒たちに、こうお命じになりました。「エルサレムから離れてはいけません。前にも言ったように、父が約束を果たしてくださるまで、待っていなさい。 バプテスマのヨハネは水でバプテスマ(洗礼)を授けましたが、もうすぐ、あなたがたは聖霊によるバプテスマを受けるからです。」

そこで、またイエスが姿を現された時、使徒たちは心躍らせながら、「主よ。今こそイスラエルを解放し、独立国として再興なさるのですか」と尋ねました。

「それがいつかは、父がお決めになります。あなたがたが、あれこれ言うことはできません。 しかし、聖霊があなたがたに下る時、あなたがたは大きな力を受け、エルサレムからユダヤ全土、そしてサマリヤから地の果てまで、わたしの死と復活を伝える証人となります。」

こうお答えになると、イエスは、見守る使徒たちの目の前で天に上げられ、たちまち雲の中に姿を消されました。 10 彼らがなおも目をこらして見上げていると、突然、白い衣を着た人が二人、そばに立って言いました。

11 「ガリラヤの人たちよ。なぜ空ばかり見上げているのですか。イエスは天にのぼりましたが、いつかまた、今と同じようにして地上へ帰って来られるのです。」

12 このことが起こったのはオリーブ山でした。そこから一キロほど歩いてエルサレムに戻るとすぐ、 13-14 使徒たちは、泊まっていた家の二階で祈り会を始めました。そこにいたのは次の人たちです。ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」という反体制グループのメンバー〕、ユダ〔ヤコブの息子〕、イエスの母、イエスの兄弟たち、何人かの婦人たち。

15 この祈り会は数日間続きました。ある日、百二十人ほどが集まっていた時、ペテロが立ち上がり、次のように提案しました。 16 「皆さん。イエスを捕らえた暴徒どもの手引きをしたユダには、聖書のことばどおりのことが起こりました。そうならなければならなかったのです。ずっと昔、聖霊によって、ダビデ王が預言したことだからです。 17 ユダは、使徒にも選ばれた、私たちの仲間でした。 18 ところが彼は、裏切りで得た金で畑を手に入れたものの、まっさかさまに落ちて体が裂け、はらわたがみな飛び出すという無残な死に方をしたのです。 19 この出来事は、あっという間にエルサレム中に広まり、人々はその場所を『血の畑』と呼ぶようになりました。 20 実は、ダビデ王が聖書の詩篇の中で、『彼の家は荒れ果て、だれも住まなくなれ』『彼の仕事を、ほかの人に与えよ』と預言しているのです。

21-22 だから今、ユダの代わりにほかの人を、イエスの復活の証人に選ばなければなりません。選ばれる者の資格ですが、何と言っても、初めから私たちと行動を共にしてきた人でなければいけません。そう、イエス様がヨハネからバプテスマを受けて以来、別れを告げて天にのぼられるまでの間、ずっと私たちといっしょにいた人です。」

23 一同は二名の候補者を立てました。ユストというヨセフ〔別名バルサバ〕と、マッテヤです。

24-25 それから、ふさわしい人が選ばれるように、みな一心に祈りました。「ああ、主よ。あなたはすべての人の心をご存じです。どうぞ、ユダの代わりに、二人のうちどちらを使徒にお選びになるかお示しください。ユダは当然行くべき所に行ってしまいましたから。」

26 くじを引き、当たったのはマッテヤでした。こうして、ほかの十一人に、彼が使徒として加わることになりました。

別の本を書いたルカ

テオピロへ、

私が初めに書いた本は、イエスが行った全ての事だ。また、イエスの教えを全て初めから記した本だ。 イエスは復活してから天に引き上げられるまでの間、聖霊ホーリースピリットの助けによって使徒たちを任命し、これからするべきことを伝えた。 これは彼の死後のことだったが、彼は自分が生きていることを彼らに示し、様々な方法でそれを証明した。使徒たちはイエスが死から復活してからの40日間、何度もイエスを見たのだ。イエスは人々の前に姿を現すたびに神の王国キングダムについての話をした。 イエスは使徒たちと一緒に食事をしていた時、エルサレムを離れないようにと彼らに伝えた。「お父さんが送ってくれると約束した聖霊ホーリースピリットを受けとるまで、エルサレムから離れてはいけない! 洗礼者バプティストヨハネは水で洗礼を授けたが、お前たちはもうすぐ聖霊ホーリースピリットによる洗礼を受けるからだ!」

天に引き上げられるイエス

使徒たちはみんな集まっていた。すると、彼らはイエスに尋ねた。「イエス様!今度はあなたが再びイスラエルの人々に彼らの王国を与える時だということですか?」

イエスは彼らに言った。「それはお父さんが決めること。だから、お前たちが知る必要はない。 だが、聖霊ホーリースピリットが来ると、彼はお前たちに力を与える。お前たちは、エルサレム、ユダヤ全土、サマリア、そして世界のあらゆる場所でわたしのことを伝える証人となるのだ!」

イエスはこう言い終えると、天に引き上げられた!使徒たちが見ている目の前で、彼は雲の中に引き上げられ、見えなくなっていったのだ・・・ 10 イエスが去っていくその姿を、そして、空を使徒たちは眺め続けた。すると突然、真っ白なころもを着た2人の男たちがそばに立っていた。 11 彼らは言った。「ガリラヤ出身のみなさん。なぜここに立って空を見つめているのですか?あなた方は、イエスがあなた方のもとから天に引き上げられたその光景をその目で見たでしょう。それと同じように、イエスはまた戻って来るのですよ」

新しい使徒が選ばれた

12 使徒たちはオリーブ山を下り、神殿のみやこエルサレムまで1kmほどの道のりを歩いて帰った。 13 みやこに入り、彼らは泊まっていた家の2階に上がると、そこにはペテロと兄ヤコブ、そして弟ヨハネ、ペテロの弟アンデレ、ピリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、アルパヨの子ヤコブ、熱心党員シモン、ヤコブの息子ユダの顔ぶれが揃っていた。

14 使徒たちは集まり、同じ目的で祈り続けていた。イエスの兄弟やその母・マリア、また何人かの女性たちも使徒たちと共にいた。

15 それから数日後、そこには120人ほどの仲間たちが集まった。ペテロは立ち上がって、彼らに語った。 16-17 「兄弟、姉妹のみんな。聞いてくれ!聖書の中で聖霊ホーリースピリットは言っている。ダビデを通して何らかが起こらなければならないと・・・。ダビデが話していたこととは・・・俺らの弟子の1人だったユダのことだ。ユダは俺たちと一緒に仕えていた。霊は言った・・・イエスを捕らえるために、ユダは男たちを引き連れて来るだろう・・・」と・・・

18 ユダはこれに加担することで報酬をもらった。彼はそのお金を使って土地を購入すると、その場所で彼は頭から真っ逆さまに落ちた。その衝撃で彼の体は引き裂かれ、腹わたが血とともにふき出した。 19 こうして、エルサレム全ての人はこの事件を知った。そして、その土地を「血の土地アケルダマ」と呼んだのだ。

20 ペテロは言った。「詩篇でも、ユダについてこう書いてある。

『♪人々は彼の土地の近くに行くべきじゃない。
誰もそこで住むべきじゃない』

また、こうも書かれている。

『♪彼の務めは他の男に任せよ』

21-22 だから今、別の男が俺たちに加わり、イエスの復活の証人にならなければならないのだ。その人は、イエスが俺たちと共にいた時からずっと仲間の1人だった者でなければならない。つまり、ヨハネが洗礼を人々に授けていた頃からイエスが天に引き上げられるまで、ずっと俺たちと共にいた者でならなければいけないと言うことだ!」

23 彼らは2人の候補者を仲間たちの前に出した。一人目はユストと呼ばれたヨセフ、別名バルサバ。そして、2人目はマッテヤだ。 24-25 彼ら使徒たちは祈った。「神よ、あなたは全ての人の思いを知っている。この2人のうち、どちらをこの働きをするために選んだのか示してください!ユダはそこから背を向け、自分の属している場所へと行った。神よ!使徒としての役割を担うべき人を示してくれ!」 26 それから彼らは、2人のうち1人を選ぶためにクジを使った。その結果、マッテヤが選ばれた。そこでマッテヤは他11人と共に使徒となった。